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『むかしばなし』データベースから【お化け井戸のこと】を表示 登録件数30中1件
お化け井戸のこと上部のおはなし(挿絵はありません)

昔、お正月にお殿様が泉川下泉の西原大庄屋さんの家にお泊りになられた時のことである。 
 その時、お殿様のお世話役を仰せつかっていた美しい女のお手伝いさんがおった。ちょうど、お殿様のお食事のお世話をしている時、急に屁意(おなら)をもよおしてきた。せっぱつまったお手伝いさんは、持っていたお盆と湯呑茶碗の底を強くこすりつげて、擬音を出してその場をつくろおうとしたのであったが、お殿様は、「ごまかされませんよ。」と、そのお手伝いさんにいわれた。
 お手伝さんは、恥ずかしくて顔をまっ赤にして、恐縮してしまい涙を流しながら思い詰めたように退座してしまった。
 その後ただちに裏の井戸に身投げしたのである。それ以来毎年お正月がくると、この深い井戸の底から女のすすり泣く声が間こえるようになった。
 誰いうとなく人々は「お化け井戸」というようになったが、後にねんごろにおとむらいをしてこの井戸にはふたをして使用を止め、その西側に新しく掘ったのが、今も残っている井戸である。
 下泉の、お年寄りにいい伝えられているお話である。
 (泉川公民館発行泉川だよりによる)
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