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『むかしばなし』データベースから【大永山六地蔵と山女郎】を表示 登録件数30中1件
大永山六地蔵と山女郎上部のおはなし(挿絵はありません)

篠場町深谷から大永山へ登る古い道がある。 
 その急峻な山道を登り詰めた尾根が、六地蔵である。
 ここには名の通り、右室の中に六地蔵が祀られ、昔から山の人たちやここを通行する人々の信仰の場であった。昔、ここには地蔵堂があり、庵主さんも住んでいた。
 ある夜、いつものように仏前にお経をあげていたが、ふと物の怪を感じたので戸を開けてみると、きれいな娘が立っていてゲラゲラと笑いだした。
 「ハハー、これが人をたぶらかすという山女郎だな」と、庵主さんは気づき、「早々に立去れ!」といったが、その娘はいぜんとしてゲラゲラと笑うばかりであった。
 仕方なく庵主さんは、また仏前に戻って読経を続けていたが、更に立ち去る気配がない。
 そこで庵主さんは読経してたお経をつかみ、立ち上り、戸を開け、「立ちさらんか!」といって、手にしたお経で山女郎を打ちすえようとした。
 その瞬間、山女郎にバッと体をかわされ、力あまった庵主さんは庭先に転落し大怪我をして、それがもとで死んでしまった。
 こんなことがあって、その後地蔵堂を竹屋敷の方へ移したという。
 (本郷(元須領住) 伊藤静馬 談 中萩 松本俊清 記)
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