議員氏名
永易英寿
本会議年
平成28年
定例会月
6月
内容
(質問)
○次に、防災力の向上についてお伺いいたします。
まず、避難所の見直しとアクセス整備についてお伺いいたします。
前回、平成25年9月議会で、神郷校区における避難所の見直しとアクセス整備について質問しました。質問したのは9月12日でしたが、その8日前の9月4日、台風17号が接近し、神郷校区に避難勧告が出されました。避難勧告が発令された落神、楠崎地区の避難所である神郷公民館は、避難所周辺の道路が冠水し、その中を危険な思いをして来られた方もおられ、安全が確保された施設とは言いがたい状況でした。そのことを反省材料といたしまして、次回より避難勧告を発令する際には、自主防災組織を初め、地域の現場の方々とも十分に連携しながら、避難所周辺の状況を確認し、浸水等のおそれがあれば、別の避難先を指定するなど、地元との協議や対処を考えるとの答弁でした。指定避難所は、浸水や崖崩れの危険性がない安全な公共的建物で、集団的に収容できるという指定基準に基づいて決められるべきです。平成28年度の水防計画の避難所指定は、例年どおりになっておりますが、どのような対応を協議、検討されたのでしょうか。また、その理由と結果を神郷校区の皆さんにはどのように周知されたのでしょうか。
また、市内には、神郷公民館と同様な避難所があると思いますが、それらの再調査もされているのでしょうか。
次に、応急仮設住宅の確保についてお伺いいたします。
5月30日付の愛媛新聞には、仮設住宅地の確保に苦慮と大きな見出しで県内の応急仮設住宅の建設候補地の選定状況が掲載されておりました。その愛媛新聞に新居浜市は、学校生活に影響する校庭は原則使いたくないとのコメントを発表しておりましたが、私も同感であります。しかしながら、県内他市町と比べ、必要戸数分の用地を選定できていないのは問題です。今後必要な用地確保に向けては、いかに取り組むお考えでしょうか。遊休農地の活用など、対策はお考えでしょうか。
私が過去の震災で直接仮設住宅での困り事をお聞きし、調査した経験から、応急仮設住宅の建設候補地の選定には、日常生活の利便性を考慮して、まず買い物するスーパーなどが近くにあるか、また病院への通院は便利か考慮する必要があります。応急仮設住宅ができるころには、その町に自動車は走っていますが、仮設住宅では高齢化の進行でマイカーなども持っておらず、日ごろの移動に困ります。また、候補地選定とあわせて、災害時交通弱者対策のために、災害時用デマンドタクシー創設も視野に入れておく必要があると思いますが、いかがでしょうか、御所見をお聞かせください。
また、みなし仮設住宅の活用も必要だと思います。2011年3月に発生した東日本大震災では、プレハブの応急仮設住宅の設置に加え、国や地方自治体が民間の賃貸住宅を借り上げ、被災者に応急仮設住宅として提供する対策が進められました。震災などで住居を失った被災者が、民間事業者の賃貸住宅を仮の住まいとして入居した場合に、その賃貸住宅を国や自治体が提供する仮設住宅、応急仮設住宅に準じるものとみなすことです。一般的に、仮設住宅というと、災害発生後に応急的に設置されるプレハブ住宅を想像しますが、このみなし住宅は、国や地方自治体などの行政主体が、災害救助法に基づき設置し、被災者に貸与するもので、設置費用や賃料は、国庫負担によって賄われます。みなし仮設住宅は、住居の家賃や敷金、礼金、仲介手数料などが国庫負担の対象とされ、適用期間は2年間です。メリットは、既存の空き室を利用するため、プレハブを設置するよりもコストが低く済み、住み心地もプレハブに比べれば快適である場合が多いとのことです。日常の空き家対策を推進する上でも有効だと思います。きのうの三浦康司議員の質問に対する答弁で、来月から空き家バンク制度を運用するとのことですが、日ごろから民間の賃貸住宅の空き室状況を宅建協会などと共有しておいて、災害時にはそれらをみなし仮設として活用して、被災者の居住空間を確保する、このような空き家情報管理と防災対策を併用した取り組みをしてはいかがでしょうか、御所見をお聞かせください。
次に、災害廃棄物の処理についてお伺いいたします。
地震や集中豪雨、台風などの地震災害は、とうとい人命を奪うだけでなく、建物などの損壊、また家電製品や家具類といった日常生活に伴う物品などの大量の廃棄物を発生させます。その大量の廃棄物処理には、多額の公費が投入されますが、事前の備えで経費を抑えることができます。NHKの調べですが、東日本大震災の各自治体の1トン当たりの処理費用を見てみますと、岩手県大槌町が9万7,000円と最も高く、被災地で最も多い426万トン余りの瓦れきが発生した宮城県石巻市は、1トン当たりの処理費用が7万1,000円で3番目の高さです。
一方、最も低く費用を抑えた宮城県東松島市は、419万トン余りの瓦れきが発生し、石巻市に次ぐ多さでしたが、1トン当たりの処理費用は、石巻市の7分の1の9,600円にとどまっています。石巻市において費用が高くなった理由については、震災直後に大量の廃棄物を一刻も早く撤去しようと、解体現場などから十分に分別しないまま収集し、仮置き場での分別が必要となり、人手と新たな機械の導入に多額の経費がかかったことや事前の業者選定や入札を行わず、随意契約で処理していったことなどが要因です。経費を抑制できた東松島市は、事前の業者の選定で入札を導入し、透明性を高める取り組みを進めています。市と業界団体が連携してコストダウンに努め、分別を後回しにしない、解体現場で分別を済ませたことで、瓦れき置き場の管理に係る費用も石巻市の約40億円に対して東松島市は約5億円と8分の1に抑えています。さらに、東松島市では、各業者が請求書を一旦全て建設業協会に提出し、協会は、不適切な請求がないか、内容をチェックした上で市役所に提出し、費用を抑える取り組みを進めたり、市は業者に処理方法を細かく指示したりしていました。住宅などの解体現場で分別を済ませるよう要請し、行政も協力した結果、現場から運び出した後の処理に係るコストが、大きく抑えられました。新居浜市の災害廃棄物処理に関する御所見をお聞かせください。
平成16年新居浜災害での災害廃棄物処理量と諸費用は幾らでしたでしょうか。また、その災害経験を踏まえて、今後災害が発生した場合、災害廃棄物に係る費用のコストダウンについてどうお考えでしょうか。
(市民部長答弁)
○市民部長(木村和則)(登壇) 防災力の向上についてお答えいたします。
まず、避難所の見直しとアクセス整備についてでございます。
平成25年9月の神郷公民館周辺の道路冠水に伴うその後の対応等でございますが、周辺の雨水排水整備を進めるほか、愛媛県においては、県道壬生川新居浜野田線神郷小学校付近の道路排水の改修を行ったと聞いております。また、地元の自治会からの要望により、神郷公民館以外の希望のあった自治会館等の施設を、自主的な避難場所として定めており、平成27年度に作成いたしました地域防災計画に自主的な緊急避難場所として掲載するとともに、校区版防災マップに記載してまいりました。
なお、地元住民への周知につきましては、連合自治会を通じ報告させていただくとともに、市ホームページに掲載いたしております。その他の避難場所につきましても、見直しを行い、地元から要望のあった自治会館等の施設を自主的な避難場所として定め、同様の措置をいたしております。
次に、応急仮設住宅の確保についてでございます。
仮設住宅建設に必要な用地確保に向けての取り組みにつきましては、まずは使用可能な市有地の見直しを行うとともに、これに加え、国有地、県有地、民有地の利用も含め、用地確保に努めてまいります。
また、遊休農地の活用につきましても、接道条件や周辺の水道・下水道等の整備状況等を勘案しながら検討してまいります。
また、災害時用デマンドタクシー創設につきましても、仮設住宅からの移動手段の確保は、被災者が日常生活を送る上でも重要でありますことから、既存の交通機関を含め、災害時の交通弱者対策について今後調査研究を進めてまいります。
次に、空き家情報管理と防災対策を併用した取り組みについてでございます。
愛媛県におきましては、大規模災害時における民間賃貸住宅の媒介に関する協定を社団法人愛媛県宅地建物取引業協会と結んでおり、県の要請により、民間賃貸住宅を応急住宅として確保するための情報提供や媒介事務が円滑に行われるよう、必要な措置をとることなどが取り決められております。本市におきましても、当協会新居浜支部の協力を得ながら、空き家バンク制度を利用するなど、大規模災害時の応急住宅の確保に努めてまいります。
(環境部長答弁)
○環境部長(伊藤公夫)(登壇) 災害廃棄物の処理についてお答えいたします。
まず、平成16年新居浜災害での災害廃棄物処理量と処理費用についてでございます。
清掃センター及び最終処分場で処理した災害廃棄物量は2万1,686トンで、この量には災害廃棄物として回収した家電リサイクル法対象のテレビやエアコンなどの廃家電、消火器やタイヤなどの処理困難物、土砂の処理量は含んでおりません。処理費用は3億3,370万円でございます。
次に、経験を踏まえて、今後災害が発生した場合における災害廃棄物処理費用のコストダウンについてでございます。
平成16年災害では、黒島、久貢山、菊本、垣生、磯浦に廃棄物の仮置き場を設置いたしましたが、被災家屋や道路上の廃棄物撤去を優先したため、ごみを分別せず仮置きとなりました。災害廃棄物には、さまざまなごみがまざっており、処理する過程では、その分別、仕分けに多大な労力と費用がかかってまいります。そのため、可燃物、廃家電、金属くず、コンクリートがらなどに分別して仮置きすることで、分別、仕分けに要する手間とコストが省け、その後の処理もスムーズに運ぶことができると考えております。また、廃棄物によっては、民間の処理業者に直接搬入することで、仮置きなどにかかる費用を削減することもでき、災害廃棄物処理のコストダウンにつながっていくものと考えております。
(再質問)
○15番(永易英寿)(登壇) 廃棄物処理に関しては、愛媛県では平成28年、ことしの4月に愛媛県の廃棄物の処理計画が策定されましたが、新居浜市も順次策定していくと思いますが、その辺の計画等がありましたらお聞かせください。
(環境部長答弁)
○環境部長(伊藤公夫)(登壇) 永易議員さんの再質問にお答えいたします。
新居浜市におきます災害廃棄物処理計画の策定の予定でございます。
先ほど永易議員さんからも御案内がございましたように、愛媛県が今年、災害廃棄物処理計画及び計画策定のガイドラインを策定されたということで伺ってございます。その中で、今年度、県内におきまして、対象市町村に説明会を開催するというふうなことをお聞きいたしてございますので、県のアクションプランでは、平成30年度までに県内全市町の計画を作成するというふうな目的を持っているというふうなことも伺っておりますので、新居浜市につきましても、平成30年までに県のガイドライン等を参考にして作成してまいりたいと考えております。
(再質問)
○15番(永易英寿)(登壇) 避難場所、避難所についてお伺いいたしますが、自主的な緊急避難所として各自治会を想定しているということですが、近年、自治会の加入率が低下してきておりますので、自治会に入っておられない方にはどのような方法で周知をしていくのか、お考えをお聞かせください。特に、自治会加入を促進する上では、そういった自治会を使えるということで、自治会加入率のアップにもつなげていく必要が私はあると思っておりますが、いかがお考えかお聞かせください。
(市民部長答弁)
○市民部長(木村和則)(登壇) 永易議員さんの再質問にお答えいたします。
自主的な避難所の候補について、自治会に加入されてない方等への周知についてという御質問だと思います。自治会加入者につきましては、連合自治会を通じまして、会報等で通知ができておりますが、加入されていない方にはそういう通知が行かないということでございます。ということで、地区の防災マップにつきましては、地区の公民館等にも配布をいたしておりますし、またインターネット環境のある方につきましては、ホームページも見ていただけるかと思いますが、校区の防災訓練であるとか、さまざまな機会を通じて、自治会に加入されてない方への周知につきましても確保していきたいと考えております。
(再質問)
○15番(永易英寿)(登壇) 自治会に加入されておられない方は、なかなか公民館や地域の防災訓練にも参加してないと思いますので、できる限りまた広い広報の仕方を検討していただくよう要望いたします。
災害はいつ起こるかわかりませんが、いつかは絶対に起こると思っております。命を守る地域防災力の向上を図るには、場合によっては国の検証結果や県の施策の状況待ちだけでなく、新居浜市が独自で地域の特性に応じた施策を展開することを必要だと思っておりますので、新居浜市発の地域に応じた防災施策を今後も期待しております。