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(質問)
○次に、防災における地元企業の社会貢献についてお伺いいたします。
自民党新居浜支部として、8月31日に新居浜建設業協同組合、新居浜市管工事業協同組合、新居浜造園緑化事業組合、新居浜電気工事協同組合の建設関連団体から要望を受けました。私ども自民クラブといたしましても、この要望を真摯に受け止めております。国、県との連携、協力なくしてはできないこともありますが、まずは市としてできることから建設関連団体の皆様と共に地域の課題が解決できるよう活動していく所存であります。長期化する新型コロナウイルス感染症は、新居浜市においても第七波の爆発的な感染拡大状況が続いております。地元の建設企業は、工事の中断や資機材の調達困難、資材価格の異常な高騰といった厳しい難局に対応し、日々従業員や作業員の感染予防対策を徹底しながら、円滑な工事の施工に努めております。近年、激甚化する自然災害に目を移すと、線状降水帯によるゲリラ豪雨発生など、いつ大規模な災害が起きてもおかしくない状況が続いております。災害時に市民の安全と安心を守るための応急対策業務を迅速かつ確実に履行していくためには、建設企業の専門的な技術力、協力は欠かせません。中でも建設関連団体の組織力、それぞれの得意分野を発揮し、地域の守り手として道路啓開、応急復旧工事の実施など、その対応力はなくてはならない存在です。新居浜建設業協同組合では、水防協力隊としてここ令和2年、令和3年、令和4年と3年連続愛媛県東予地方局や新居浜市災害対策本部と連携しながら、合同防災訓練をし、組合の総力を挙げて被災現場の応急対策業務を最優先事項と位置づけ、迅速な対応に努められております。
しかしながら、組合の会員数は、現在ピーク時の120社を大きく下回り50社と半分以下になっております。
愛媛県では、災害協定に基づき、地元建設企業が行った緊急出動を入札の総合評価落札方式の中で評価していますが、新居浜市では、年間数件の試行のみにとどまっております。総合評価落札方式を本格導入していないため、災害対応を行った業者とそうでない業者が、価格競争のみの入札で競合しているのではないでしょうか。災害対応の評価は、建設業者格付で僅かな加点でしかなく、厳しい価格競争の歯止めになっておりません。価格競争のみの調達方式ではなく、地元の災害対応や様々な地域貢献活動、地元の雇用等に貢献している企業を評価した調達方式が必要ではないでしょうか。地元企業と連携協働した防災対策を持続可能に発展していくためには、総合評価落札方式の本格導入を行い、価格競争だけではない調達方式の採用をすべきだと思います。
昨今では、人口減少による担い手不足や国際的にはロシアのウクライナ侵攻に起因する資材価格の度重なる高騰及び品不足に歯止めが利かない状況が続いております。このままでは、新居浜市内の建設企業が、社会資本整備に携わりながら災害対応等の社会的使命を継続的に果たしていくためには、危機的な局面を迎えております。
愛媛県の工事では、入札前に事前見積りを活用して、施工可能な適正価格で発注しているため、入札不調が生じないとお聞きしております。コロナ禍による部品等の供給不足や木材や鋼材価格の高騰により、新居浜市工事では、入札不調が発生したり、実際大型工事では、工期内に何度も材料費が値上げしたりしている状況ではないでしょうか。
入札における不調、不落発生状況はいかがでしょうか、お尋ねいたします。
新居浜市工事でも、入札前に事前見積りを採用して、施工可能な適正価格で発注すべきと思われます。御所見をお伺いいたします。
地域の安心、安全のために活動し、地域を災害から守っている地元建設企業が、健全に事業を継続できるよう、新居浜市発注工事における指名競争入札の対象案件の見直しや市内に本店を有する建設業者への積極的な発注による企業育成を心がけて事業を行っていただきたいと思います。
地域経済に影を落とす要因が数多くある時世でございますので、自民クラブといたしましては、地元関連団体からの要望には迅速に対応していく所存です。新居浜市も同じ方向性だと思いますが、現状の対応状況なども含めた御所見をお伺いいたします。
平成29年6月議会で、地元に配慮した入札制度改革についてと題し、私が議会質問したときには、答弁は次のようなものでした。四国地方公共工事品質確保推進協議会においても、平成29年度に向けた取組として、総合評価落札方式の実施が上げられておりますことから、まずは今年度以降、着実に実績を積み上げていきたいと考えております。御提言いただきました若手技術者活用、地域防災担い手確保、技術者育成等の評価項目につきましては、いずれも今後の建設業界にとりまして重要な課題であると認識をいたしております。現在の要領につきましては、工事の品質の確保に資する評価項目の追加、検討あるいは総合評価方式にふさわしい工事の選択など、時代の要請に合わせた改定が必要であると考えておりますので、今後本格実施に向けて実績を重ねていく中で、要領の内容についても検討をしてまいります、このような答弁を今から5年3か月前にいただいておりますが、5年以上経過しておりますので、そろそろ検討の時期は終わりではないでしょうか。本格実施に向けた意気込みをお聞かせください。
(加藤副市長答弁)
○副市長(加藤龍彦)(登壇) 防災における地元企業の地域貢献についてお答えいたします。
まず、地元の災害対応や様々な地域貢献活動等を評価する総合評価落札方式についてでございます。
総合評価落札方式は、落札者決定の過程において、学識経験者の意見聴取が義務づけられているほか、落札決定までの事務手続に時間を要することなどが運用における課題となっておりますことから、県内他市においても、年間数件の実施にとどまっているのが現状でございます。
本市におきましては、計画的に導入案件を増やしていく方針の下、令和4年度からは、市内・市外業者が競合するしゅんせつ工事などについて対象を拡大したほか、対象工事の設計金額を見直すなどの制度改善を図っており、本年度は昨年度から5件増となる8件の実施を予定いたしております。
次に、入札における不調、不落発生状況でございます。
本年度の4月から8月末までに実施した随意契約を除く工事の入札113件のうち、入札不調、不落案件は、不調が2件、不落が1件ございました。うち、価格高騰などによる影響が原因と思われる案件は、建築一式工事における不調案件が1件ございます。
なお、工事発注における事前見積りにつきましては、県と同様の方式は採用いたしておりませんが、愛媛県の物価資料などを用いて積算を行っており、それらに掲載されていない歩掛かりや資材単価などについては実勢価格の見積りを行い、適正な工事費を算出いたしております。
次に、指名競争入札の対象案件の見直し及び地元企業の育成についてでございます。
現在、本市では、設計金額が2,000万円以下の公共工事で、特殊な技術、経験を要しないものは、市内業者を指名いたしております。
なお、設計金額が2,000万円を超える工事は、一般競争入札を行っておりますが、競争性が確保できる案件につきましては、参加資格を市内業者に限定する運用を行うなど、地元企業の受注機会確保に鋭意努めているところでございます。これらの運用により、令和3年度では、工事請負契約295件のうち267件、約90%が市内業者への発注となっております。
今後におきましても、市内業者育成の観点から、最も重要な競争性、公平性を確保しながら、災害対応や地域貢献活動等を評価する総合評価落札方式につきましても計画的に運用を図ってまいりたいと考えております。
(再質問)
○17番(永易英寿)(登壇) いろいろと地元企業に配慮していただきまして、ありがとうございます。引き続き総合評価落札方式の導入に向けて取り組んでいただくことと、あと災害時には地元業者に助けていただくことになりますので、諸団体の意見を親身にお受け止めていただいて、今後も地元企業の支援に努めていただくよう、お願い申し上げます。