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(質問)
○19番(高塚広義)(登壇) こんにちは。
公明党議員団の高塚広義でございます。
通告に従いまして、会派を代表いたしまして質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
最初に、行政運営について伺います。
まず、証拠に基づく政策立案(EBPM)について伺います。
最近、コロナ禍となってから何かとエビデンスという言葉が使われるようになりました。EBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングとは、証拠に基づく政策立案を指し、政策の企画をその場限りの勘、経験、思いつきに頼るのではなく、政策目的を明らかにした上で、統計データ等の合理的な根拠に基づくものとすることであります。限られた予算、資源の下で、政策効果を最大限発揮させるためには、庁内データはもとより、各種オープンデータ等の分析を行い、EBPMの推進を本市でも取り組んでいただきたいと思い、質問させていただきます。
データやエビデンスを活用した政策評価、政策決定については、厳しい財政状況にある中で、自治体はこれまで以上に限られた財源を有効に活用することが求められており、実施する政策が最少の経費で最大の効果を発揮しているのか、その政策目的が統計データ等の合理的な根拠に基づくものであることを明らかにした上で、市民に対して納得のいくしっかりとした説明責任を果たす必要があると考えます。
また、政策の立案段階においても、EBPMという考え方が重要であると言われています。統計的なデータなどを扱う場合には、データとエビデンスの両者を区別しておくことも大変重要であり、データを集めただけではエビデンスと呼ぶことはできません。エビデンスは、政策効果を把握することが可能で、かつ政策立案に生かすことのできるものであるべきと考えます。そして、確かなエビデンスに基づいて、政策の決定や実行、効果検証が公開して行われることは当然のことだと考えます。官民の客観的データを活用したEBPMの取組については、過去の経験や政策事例だけでなく、市民の行動や心理、社会の状況をタイムリーに表したデータを活用してこそ効果的な政策を立案できると考えられ、民間の検索サイトの検索ワードやサイト利用者の位置情報などが集まったビッグデータも有効活用すべきと考えます。
さらに、EBPMにAIを活用することで、政策立案のエビデンスの客観性や説得力をさらに高めることができ、AIが得意とするデータの分析、予測精度により、さらなる効果が生まれることも考えられます。
本市においても、統計的なデータに基づく政策の検証やEBPMの考え方に基づく政策立案を推進していく必要があると思います。
そこで、幾つか質問いたします。
1点目に、EBPM推進の重要性についての認識について。
2点目に、EBPMに向けたデータ分析への取組について。
3点目に、EBPMにAIを活用する考えについて。
4点目に、EBPM推進のための人材育成について。
以上、4点につき本市の見解をお伺いいたします。
(加藤副市長答弁)
○副市長(加藤龍彦)(登壇) 証拠に基づく政策立案(EBPM)についてお答えいたします。
まず、EBPM推進の重要性の認識についてでございます。
EBPMは、高塚議員さん御指摘のとおり、政策課題をより効果的に解決する改善、より費用対効果の高い政策への改善など、政策の高度化のために行われるべきものであると考えておりまして、地域課題の多様化や財政的な制約の高まり、職員数の減少などを背景にして重要性は高まってきているものと認識いたしております。
次に、EBPMに向けたデータ分析への取組についてでございます。
従来から実施している基礎調査や行政評価におけるデータ等の客観的な根拠の分析もEBPMの要素の一部であり、EBPMの推進として改めて向き合うことも重要であると考えております。限られた財源で、より高い政策効果を得るためには、政策効果の波及経路の明確化や政策課題を解決するための重要課題の分析などロジックモデルの活用が有効とされており、今年度行政評価の一部に導入したところでございます。政策の高度化につながるEBPMを推進するためには、一過性の取組として終わらせるのではなく、AIやICTなどの先進技術を活用したデータ収集に取り組むと同時に、急速に進化している社会に応じて、随時政策の見直しや改善を行っていかなければならないというふうに考えております。
次に、EBPMにAIを活用する考えについてでございます。
AIを活用して蓄積されたビッグデータを分析することで、現状の解析や今後起こり得ることを予測することができるとされております。AIは、時代を切り開くことが可能な技術であることには間違いなく、今後はAIなどの技術進歩に伴い、ビッグデータ分析が活用される領域はますます広がっていくことが見込まれるところでございますが、どのようなAIを構築するか、政策立案のプロセスにどう組み込み得るのか、AIを正しくかつ効果的に活用することが重要となってまいります。まずは、EBPMの推進を図り、限りある人的資源や財源を最大限に活用して、政策の高度化に努めてまいりたいと考えております。
次に、EBPM推進のための人材育成についてでございます。
これまでの政策立案方法であった見聞きした事例や限られた経験などに基づく政策立案から、データや証拠に基づく政策立案へと転換していくためには、AIを活用する力やデータ分析能力の向上が求められますことから、その重要性を認識し、身につけた人材を育成することが何よりも必要であると考えており、昨年5月にEBPMの必要性、ビッグデータの活用方法などの職員研修を実施したところでございます。
今後におきましても、データ利活用の必要性、重要性などの理解の向上を図り、正しくデータを活用できる人材の育成を図ってまいりたいと、このように考えております。