本文
(質問)
○次の質問に移ります。
コミュニケーション能力と演劇について。
SDGsとは、貧困や地球環境などの問題を解決し、世界中の人々が豊かに暮らせる世界を実現できるよう、2030年までに達成すべき17個の目標です。その中で、17番目のパートナーシップで目標を達成しようは、誰一人取り残さない持続可能な社会を実現するためには、国や企業、専門家、個人などが相互に協力し合うことが重要であるとしています。
しかしながら、現在国家レベルでは、ウクライナ侵攻による世界のブロック化や覇権主義、権威主義が進み、また個人のレベルでは、ネット上のフェイク情報や排他的、差別的言動が拡散するなど、SDGsの目指そうとする社会と相入れない方向に向かっているように感じています。
それと、3年余り猛威を振るったコロナウイルス感染症も少なからず各分野、各世代に大きな傷痕を残し、空白の3年間でいろいろなものを失いました。
その元凶は、自分の主張だけをして、コミュニケーションで折り合いをつける努力が社会全体でなおざりになっていることではないでしょうか。
こうした大人の世界を映すように、子供たちの世界でも、子供たちが集まっても、お互いに会話もなく、個々にスマホゲームをしていること、子供同士の陰湿ないじめ問題が一向に減らないこと、若者たちの自殺が減らないことなどこれらも突き詰めればコミュニケーション不足が最大の原因と言えます。結果として、本来もっと元気であるはずの子供が持つエネルギーが、健康的に開放されていないいびつな社会構造があるということであり、その根本的問題は、コミュニケーションの仕方を知らない社会になっているということだと思っています。多様性が叫ばれる現代社会において、異なる価値観を持った人の行動を理解する他者理解は欠かせないスキルであり、若いうちからそうしたコミュニケーション能力を磨くことは非常に重要であり、人と話す、人の話を聞く、人に伝える、共感するといった能力は、人間関係の構築、円滑な仕事の遂行、困難な課題解決、多様性の理解など、個人の成長や社会関係の構築に大いに役立つものになります。
2021年、人口8万人の兵庫県豊岡市に、芸術と観光を専門とする公立の芸術文化観光専門職大学が開校し、初年度の入学試験倍率は4.7倍でした。大学では、コミュニケーション能力を培う教育として演劇の手法を用いています。また、本市出身の著名作家であり演出家である鴻上尚史氏は、演劇は人生そのものであり、人間を変える力があり、教育に有用であると語られています。演劇の中で、自分と異なる価値観を持つ役を演じることで、他者を理解し、観客に対しても、自分のイメージをうまく伝えようとし、その受け止めを分かろうとすることでコミュニケーション能力が身につくということです。
そこで、今のこの閉塞した社会を切り開くため、コミュニケーション能力向上の位置づけについてお伺いします。
まず、学校教育の中で、児童生徒がコミュニケーション能力を身につけることの重要性について、どのように認識されているのか、伺います。
また、実際に学校教育の中でコミュニケーション能力を身につける教育が計画的、体系的にどのように行われているのか、お伺いします。
次に、将来を見据えた新居浜の発展のために一番大事なことは、若者が元気なまちづくりであります。若者が元気になれば、地域も活性化します。今後、多様性を尊重する社会に向けて、人を育てる学校での演劇教育や演劇ワークショップを活用した新居浜市独自の教育の導入、そして演劇を通じた人づくりとして、あかがねミュージアムでの鴻上尚史氏の演劇ワークショップの継続的な開催や市民演劇活動の支援、観劇機会の拡充、全国演劇大会の誘致等々、市民生活を豊かにし、コミュニティーの活性化につながる演劇にさらに力を入れていただきたいと思いますが、お考えをお伺いします。
(教育長答弁)
○教育長(高橋良光)(登壇) コミュニケーション能力と演劇についてお答えいたします。
まず、学校教育の中で児童生徒がコミュニケーション能力を身につけることについてでございます。
社会の急激な変化に伴い、予測困難なこれからの時代を持続可能な社会の担い手としてたくましく生き抜く力が求められており、その中でもコミュニケーション能力の向上は、特に重要視しているところでございます。
次に、学校教育の中での計画的、体系的なコミュニケーション能力を身につける教育についてでございます。
学習指導要領総則では、主体的、対話的で深い学びの実現を目指した授業改善をどの教科においても基本として取り組むよう記されており、本市におきましても、学校教育の指針に明記しており、発達段階に応じて系統的に学習指導計画を立て、コミュニケーション能力の育成を実践しております。一例として、外国語活動では、外国語を通して積極的にコミュニケーションを図ることや1人1台端末を効果的に利用することで、複数人で共同編集したり、写真の撮影や音声の録音機能を使った意見交換を行っております。また、総合的な学習の時間では、個人やグループで、これまでよりも早く、質の高いプレゼン資料を作成し、児童生徒が自信を持って発表等をすることができております。
次に、学校での演劇教育や演劇ワークショップを活用した新居浜市独自の教育の導入についてでございます。
本市では、新居浜市文化体育振興事業団と連携し、演劇鑑賞教室に小中学生が参加することで、児童生徒の豊かな感性を育てております。また、あかがねミュージアムでは、演劇ワークショップのほか様々な公演が行われておりますことから、演劇鑑賞で興味を持った子供たちが、これらに参加することにより、コミュニケーション豊かな人を育てる教育を進めてまいります。
(企画部文化スポーツ局長答弁)
○企画部文化スポーツ局長(藤田和久)(登壇) 演劇ワークショップの開催や活動支援等についてお答えいたします。
まず、鴻上尚史氏の演劇ワークショップにつきましては、昨年度あかがねミュージアムで開催し、小学生から70代の幅広い年齢層の皆様に御参加をいただきました。分かりやすく熱心な御指導は、大変御好評をいただきましたことから、本年11月30日に開催を予定しております。
今後の継続実施につきましては、鴻上氏と協議させていただきたいと考えております。
次に、活動支援等についてでございます。
あかがねミュージアムでは、市民劇団が公演する場合には、指定管理者であるあかがねミュージアム運営グループが共催を行い、会場や広報等の支援を行っております。
観劇機会の拡充や全国演劇大会の誘致等におきましては、11月28日から2日間行われます鴻上氏作、演出による竹下景子さんと鈴木福さんなどが出演される芝居をはじめ、様々な劇団の公演、また令和6年度には四国初開催となる全国学生演劇祭が予定されるなど、市民が演劇に触れる機会の創出に努めております。
今後におきましても、身近に文化芸術を感じられ、気軽に鑑賞、活動ができる場の提供や幅広い層に向けての情報発信を行い、活気に満ちた町を目指してまいります。
(再質問)
○15番(藤田誠一)(登壇) 引き続きよろしくお願いします。