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(質問)
○ 私の住んでいる地域、御近所さんの状況を見ますと、この10年、5年と高齢化が急速に進んでいることが実感されます。新居浜市全体ではもちろん同じ状況ですし、恐らく全国的にも同様だろうことは御存じのとおりです。ちょうど私のすぐ後の年代が、いわゆる団塊の世代でありますが、2025年問題と言われたのが、この団塊の世代が後期高齢者となり、高齢者が国民の30%を超え、様々な社会問題が顕在化してくるという問題でした。その2025年問題も目前となり、今ではその次の段階が、高齢者、後期高齢者がピークを迎えるとされる2040年問題が大きなテーマとなっております。高齢者の増加に伴い、独居高齢者も増えております。今、少子高齢化の問題に対しましては、国におきまして大きく少子化対策にシフトされてきておりますが、急激に進む高齢化の状況を目の当たりにしますと、やはり高齢化対策については、つまり介護保険サービスの提供の体制について、しっかりと盤石の態勢を敷き、その上で少子化問題に取り組んでいくべきだろうと思います。
厚生労働省は、2021年7月に、自治体が第8期の介護保険事業計画に盛り込んだサービス提供の見込み量を基に、2023年度には約233万人、2025年には約243万人、2040年度には約280万人の介護職員が必要になり、2019年度と比較して69万人不足するとの推計を発表いたしました。
本市におきましても、第8期の計画で、令和2年9月末現在の65歳以上の人口は3万7,994人、高齢化率は32.2%と超高齢化社会となっていることが記されております。今後の推計では、高齢化率も上昇し続け、令和7年では32.7%、さらに令和22年では35.3%となると見込んでおります。
一方で、介護職は、高齢福祉を推進するために欠かせない存在であり、非常に重要な役割を担っているにもかかわらず、仕事に見合った賃金が支払われていません。賃金の原資となる介護報酬は、国において定められており、新居浜市の問題だけではないということは承知しておりますが、賃金が低いことが介護職員の不足が解消されない要因の一つであると考えます。現在の人員不足が続けば、必要なサービスが提供できなくなる可能性があります。介護職の確保は、第9期の介護保険計画策定に当たり、国から何らかの指針のようなものは出ているのではないかと思いますし、また報道では、国の報酬改定についてはいろいろ議論されているようです。国の指針や報酬改定の議論では、介護人材の確保に関しどのようなことが大切にされているのでしょうか。
また、9期の介護保険計画策定に当たって、どのような考え方を持って策定されているのか、今年度、第9期介護保険計画策定の年ということで、現在その作業中だと思いますが、考えられる範囲でお答えください。
(市長答弁)
○市長(石川勝行)(登壇) 小野辰夫議員さんの御質問にお答えをいたします。
高齢者の福祉についてでございます。
介護従事者の確保についてお答えをいたします。
国の指針等における介護人材確保の考え方につきましては、厚生労働省の社会保障審議会での議論から大きく4点が挙げられます。
1点目として、全産業と比べて低い状況にある賃金水準の引上げとこれを保証する報酬改定、2点目に、介護職の魅力発信等による人材の確保、3点目として、働きやすい職場づくりや環境改善、そして4点目が、安定して働き続けられる安定性の確保でございます。
この3点目の環境改善に関しましては、令和4年12月に国から出されております介護職員の働く環境改善に向けた政策パッケージにおいて、介護ロボット、ICT機器の導入、テクノロジーの導入促進などの取組等により、その成果が従業員の賃金に還元していくとして、処遇改善につながるものとされております。
次に、第9期介護保険計画策定に当たっての考え方についてでございます。
第9期の介護保険計画につきましては、国から示された基本指針に基づき作成することとなっておりますが、人員の確保につきましては、本市においても早急に取り組むべき課題でありますので、基本指針に示されている計画化が任意の項目のうち、各事業所で実施可能なものを検証し、計画に盛り込む予定といたしております。
また、計画策定作業において、事業所アンケートを実施しており、できるだけ現場の意見が反映されるものにしたいと考えております。
報酬改定につきましては、事業所に対し、制度の趣旨を周知し、処遇改善が多くの事業所で確実に実施されるよう働きかけてまいります。
(再質問)
○ 今後の報酬について質問いたします。
現在審議されている報酬改定。
近年介護職の処遇改善として、介護報酬の改定が何度かされていたかと思います。これまでの改定は効果があったのか、課題はなかったのか、御所見をお伺いさせていただきます。
(福祉部長答弁)
○市長(石川勝行)(登壇) 小野辰夫議員さんの御質問にお答えをいたします。
これまでの介護報酬の改定の効果があったのか、またその課題はなかったのかというふうな御質問でなかったかと思います。
介護職の処遇改善としての報酬改定は、平成24年度の介護報酬加算の創設以来、7回行われておりますので、やはり一定の改善効果があったのではないかと考えております。
また、改定に至る議論の内容や審議過程が報道されることも、国が介護職の状況の改善を考えていることのメッセージとなっており、現状や改善の必要性への国民の理解、改善に向けた条件整備という点でも効果があったのではないかと考えております。
次に、課題はなかったのかとのことでございますが、介護報酬改定は、基本的には3年に一度行われる制度でありますから、制度としての社会情勢の反映が遅れることが挙げられております。
また、必ずしも全ての事業所が改定の適用を申請したわけではなかったことや、報酬改定は基本的に介護職に対するものになるため、事務職の給与改善がなかったこととかあるいは法人の持ち出しで調整されたという事例も聞き及んでおります。
さらに、介護職は、他業種との格差が大きく、改定額だけでは抜本的な改善には至っていないこと、改定の年でも、他の業種の後追いで改定されるため、時期が遅れることも課題と認識をいたしております。
(再質問)
○17番(小野辰夫)(登壇) 御答弁ありがとうございました。
御答弁で、加算の適用に積極的でなかった事業所について課題が挙げられておりましたが、そのようなことでは、介護職の確保が難しい、成り手が減ってしまうという気がいたします。新居浜市の問題だけではなく、全国的にそのような状況であれば、やはり将来に向けた処遇改善は大きく変わる必要があると思います。今後の処遇改善の方向性として、どのようになっていくとお考えでしょうか。
また、市としても、具体的に改善に向けた取組を行う必要があると思いますが、どのような姿勢で取り組んでいくか、お答えください。
(市長答弁)
○市長(石川勝行)(登壇) 小野辰夫議員さんの御質問にお答えをいたします。
今後の処遇改善の方向性、そしてまた、市としてどのような姿勢で改善に取り組むのかというふうな御質問でなかったかと思います。
今後の処遇改善の方向性についてでございますが、先ほど答弁で説明いたしましたが、各種の課題につきまして、厚生労働省の審議会で議論されており、処遇改善、人材確保、環境改善、安定性の確保、ロボット、ICT機器等の先端技術の活用など、より具体的に実効性のある改善が今後求められます。これらの取組の成果が、今後介護職員の持続的な待遇改善に反映されていくと考えております。
次に、市としての改善に取り組む姿勢についてでございますが、先ほど答弁いたしましたとおり、本市においても介護職の処遇改善と人材の確保、育成は喫緊の課題でございますので、改善に結びつく制度が、実際に各事業所で活用されますよう、各法人への聞き取りを行い、また人材の確保や掘り起こしについては、施設や各職域団体との意見交換を行い、協力してPRを進めていきたいと考えております。
いずれにいたしましても、生活するに十分な処遇であり、やりがいを感じる環境であることが、介護職の人材確保において非常に大切でありますので、市といたしましても、その実現に向け取り組んでまいりたいと考えております。
(再質問)
○17番(小野辰夫)(登壇) 将来に向けて明るさを感じられる御答弁、ありがとうございました。
高齢者が増え、介護職が多く必要とされる今の状況においては、介護職は本来花形の職業であってもおかしくないのではないかと思います。介護報酬の引上げ等については、一時的な定着につながりますが、中長期的には介護職を確保、定着率を考えた場合、介護職員の社会的評価を上げない限り、慢性的な人材不足は解消しないばかりか、介護現場での人材不足はさらに深刻化するおそれがあります。多くの介護職の人は、高齢者の人に役に立ちたいという思いで職を選び、一生懸命働いています。しかし、重労働で腰や膝を壊してしまい、残念ながら離職せざるを得ない人が多くいるのも事実です。現場の話を聞くと、仕事のやりがいや若い人たち、他職種からの参入を促す意味でも、給与水準を含め、介護職の社会的評価を上げる必要があると考えますので、ぜひそうした観点による市の取組をお願いしたいと思います。