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(質問)
○ 次に、インフラメンテナンスにおける包括的民間委託の導入についてお聞きいたします。
国土交通省では、2012年12月2日に中央自動車道の笹子トンネルで発生したトンネル換気用の天井板などが崩落した事故以来、道路の橋梁、トンネル、舗装、河川、下水道の管渠、処理場、港湾、公営住宅、公園等の維持管理、更新について調査を行ったところ、建設から50年以上経過する施設の割合が、今後加速度的に高くなり、その管理者の多くは、市町村であると発表しました。以後、インフラの維持管理については、事後保全から予防保全への転換を呼びかけ、維持管理を民間に委託すること、つまりインフラメンテナンスの民間委託を市町村でも実施することを推奨しています。その背景には、市町村での土木技術職員が減少していること、土木修繕予算が年々減少していること、災害発生時に協力を依頼する建設事業者の安定経営保全が理由としてあります。
新居浜市においても、インフラの一斉点検と必要な修繕を済まされ、日々の日常においても点検と修繕を実施し、長寿命化にも取り組んでいただいているところですが、改めてお尋ねいたします。
新居浜市内で既に建設から50年を経過している市道関連施設の数を教えてください。
また、今後10年以内、20年以内に建設から50年を迎える施設数を教えてください。
国土交通省では、笹子トンネルの事故から11年がたちますので、インフラメンテナンスに関わる取組も第2フェーズに入ったようです。その中では、職員の技術力向上、新技術の導入、データベース化などに議論が集中しています。
しかし、このように技術レベルが高度化してくると、民間との連携が必要になります。調べましたら、愛媛県では、県所有のインフラメンテナンスについて、民間委託が進んでいるため重宝していると知りましたので、建設部の方にお伺いしました。愛媛県は、新居浜建設業協同組合と笹子トンネル事故の前年の2011年からインフラメンテナンスの委託契約を結び、日常の修繕から緊急出動までを請け負ってもらっています。資料を見ましたら、昨年令和4年度で出動件数が年間117件、内訳として緊急出動が26件、緊急性は高くないが、修繕、交換の必要があるため、事前に見積りを提出し、補修するものが79件、提案施工が12件とあります。提案施工とは、平時において通勤や現場への移動時に、作業員が補修や応急対策の必要な場所を発見したものなどになります。作業内容は、河床掘削や道路への倒木・落石撤去、橋の修繕、側溝のバキューム清掃、グレーチングの交換など様々です。緊急性の高い応急対策は、第一報が入ってから即日対応するもの。事前の見積りによる補修は、見積り提出後、おおむね2週間以内で完了しています。県の建設部の方にお伺いすると、新居浜建設業協同組合が県内で初めて、全国に先駆けて始まった愛媛方式だが、現在では包括方式を県内12地区が導入している。県の職員からすると、危険箇所などの対応要請があってから現場に赴くことなしに、まず組合に出動依頼をかけると、組合が対象箇所の担当業者に連絡し、パトロールさせ、被害状況を報告し、応急対策の方法を提案する。その後、県担当者の指示に応じて建設重機の所有台数や形式、技術レベルと現場からの距離、現在どこの工事を行っているかなど、会員事業者の状況を把握している組合事務局担当者が、最適な事業者へ出動を依頼する流れになっています。県の職員が一社一社に電話をして対応できるかどうかを問い合わせる手間が省けて、対応時間も短く、コストも安く済み、機動力と行政コストの圧縮が最大のメリットだと教えてくれました。現場に到着した作業員からは、現場の状況が写真で送られ、対応を相談し、作業前と作業後の確認に職員が出向かなくても応急対応ができるそうです。何よりも本音では、緊急対応の連絡を一社一社に依頼する職員のストレスが解消されたことは本当にありがたいですとも話されていました。
そこでお伺いいたします。
新居浜市の土木技術職員数の推移、市道に関連した土木修繕費用の推移、市民から来るインフラの修繕年間件数、市民からインフラの修繕依頼が来たときの対応手順を教えてください。
災害時に人命救助などにも対応する地元建設会社の安定経営の視点から考えてみると、私たちは、2004年、平成16年の災害において、人命救助、災害発生元の復旧、被災地の復興面から、地域にある建設会社の重要性を学びました。特に人命救助には、72時間の壁がありますので、建設会社の重機が導入できるかどうかが大きな鍵を握ると考えます。
新居浜市においては、災害時の応急対応を鑑み、建設業者の平常時の体制維持に御尽力いただいているところではあります。昨年発表された国土交通省におけるインフラメンテナンスの取組の中では、インフラメンテナンスの包括的民間委託を導入することで、地方自治体職員の負担軽減や業務の効率化ができ、建設事業者の経営面では、複数年にわたる契約で、将来の業務量の見通しがつくため、新たな設備投資、つまり土木用重機械の購入がしやすくなる、人材確保と維持がしやすくなるとメリットを上げています。
そこでお尋ねいたします。
愛媛県でも実績があるように、行政コストの圧縮、職員の負担軽減と何よりも災害時に迅速な応急対応業務を実現させて、市民の安心、安全を担保できることを考慮すると、インフラメンテナンスの包括的な民間委託を新居浜市においても検討する段階にあると考えますが、御所見をお聞かせください。
(建設部長答弁)
○建設部長(三谷公昭)(登壇) インフラメンテナンスにおける包括的民間委託の導入についてお答えいたします。
市道において建設から50年を経過しているインフラ施設数につきましては、まず橋梁が全数354橋のうち架設年次が不明な橋梁を含め234橋、横断歩道橋が全数4橋のうち3橋、トンネルが全数2本のうち2本となっております。
また、10年後に50年を超える橋梁は275橋、20年後では308橋となり、横断歩道橋及びトンネルについては、施設数に変化はございません。
次に、新居浜市の土木技術職員数の推移につきましては、平成25年度の70名から令和5年度は58名となっており、この10年間で12名減となっております。
また、市道における土木修繕費用の推移につきましては、道路側溝や舗装の修繕等の費用として、直近3か年の決算額で、令和2年度が1億300万円、令和3年度が9,200万円、令和4年度が9,600万円となっており、ほぼ横ばいでありますが、市民からの修繕要望の年間件数につきましては、令和2年度では118件、令和3年度では158件、令和4年度では186件となっており、年々増加傾向にあります。
また、これらに加え、令和3年12月より開始しましたLINEでの損傷報告による修繕要望が204件ございました。
次に、市民からの修繕依頼への対応手順につきましては、窓口や電話等で修繕の依頼を受けた後、職員が現地を確認し、緊急性や修繕方法の判断を行います。その後、現場条件に応じた業務仕様書を作成し、修繕工事として発注を行う手順となっております。
次に、インフラメンテナンスの包括的な民間委託についてでございます。
市民生活に必要不可欠な道路などのインフラを適切に維持管理していくことは、大変重要であると認識しておりますが、膨大なインフラを限られた人員、予算で対応することに苦慮しております。全国的にも同様の問題が発生しており、令和5年3月に国土交通省が、インフラメンテナンスにおける包括的民間委託導入の手引きを作成し、導入を促しております。
また、包括的民間委託の適用は、地域の守り手である地元建設業者の担い手の確保のための解決策の一つであると認識しております。老朽化が加速するインフラの適切かつ効果的な維持管理を図っていくため、今後は愛媛県が導入している地域維持型契約方式による包括的民間委託をはじめ、先進地の事例を調査し、包括的民間委託の導入に向けた検討を進めてまいります。
(再質問)
○13番(伊藤嘉秀)(登壇) ありがとうございます。
前向きに包括的な民間委託のインフラメンテナンスを御検討いただけるということでありますが、参考に、もし分かるようでしたら教えていただきたいんですが、今現在の作業手順としましては、発注するまでの手順を今お話しいただきました。案件にもよるとは思うんですが、市民からお問合せがあって修繕が完了するまでに大体どのぐらいの期間で今現状は修繕ができているのかということを教えていただければと思います。
また、先ほどもお話しいただきました中に、今後50年を超える橋梁が増えてくるということを教えていただきました。耐震とかそういったような補修をして、50年を超えても維持というのが、これはなかなか難しい話だとは思うんですが、どのぐらいまでもつということを想定しながら修繕されているのか、もしあるようでしたらお教えいただけませんでしょうか。
(建設部長答弁)
○建設部長(三谷公昭)(登壇) 伊藤嘉秀議員さんの御質問にお答えします。
まず1点目が、今現在の作業手順として、どのぐらいの期間がかかっているのかという御質問でございます。
これに関しましては、工法や規模によって大きく違います。いわゆる舗装の穴埋めであったりというものであれば、早急にしております。それと、現場を把握したときに緊急性があるかないかというところでも大分違ってくるとは思いますので、誠に申し訳ございませんが、ここで一概にちょっと言いづらいところはございます。
橋梁が増えていって50年を超えたものでももつのかどうかというところでございますが、これもまたケース・バイ・ケースでございまして、補修で延命ができるものもございますし、補修をかけたほうが高くつく場合もございます。そういうときは、やっぱり架け替えのことも検討していくという形で、橋梁に関しては法律に基づいて点検を定期的にやっておりますので、その都度長寿命化計画等を改正しながら、その中で検討しているところでございます。
(再質問)
○13番(伊藤嘉秀)(登壇) ありがとうございます。
インフラメンテナンスの包括的な民間委託については、前向きなお考えでありますので、あまりあれなんですけども、私は過去に、市の職員の方が一生懸命やっていただいている中でこんな経験があります。
ある修繕をお願いしましたときに、現場を見ていただいてお返事をいただきました。2週間たっておりました。2週間たった後、こういう修繕しますよというふうに言っていただいた後、またその2週間後に、あれはちょっとやっぱり修繕の方法が違ってましたということで、結局私がお願いしてから1か月たったというケースもありましたので、包括的な民間委託ができれば、そういった職員さんの手間も省けますし、待ち時間も減るんではないかなというようなこともありましたので、質問させていただきました。今後とも前向きによろしくお願いいたします。