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(質問)
○ 続いて、不妊治療費助成事業について伺います。
不妊治療などの支援では、1つ目、妊娠前の検査に対し、昨年10月から開始の上限3万円の妊娠前検査費助成、令和5年度は1月末までで18件の助成、2つ目、タイミング療法と人工授精に1回1万5,000円を上限とし、通算2回までの一般不妊治療費助成、令和4年度は148件、3つ目、採卵、採精、体外受精、顕微授精、受精卵・胚培養、胚凍結保存、胚移植、男性不妊など、上限9万円の特定不妊治療費助成事業、令和4年度は164件、4つ目、昨年10月から開始した先進医療に対し、上限5万円の特定不妊治療(先進医療)費助成は、令和5年度1月末までで18件、5つ目、令和5年10月から開始した回数制限なし、上限5万円の不育症検査・治療費助成は、令和5年度1月末までで2件と伺っております。令和4年4月から不妊治療が保険適用され、窓口での負担額は3割になりました。高額な治療費の軽減につながる半面、治療開始時において女性の年齢が43歳未満であることとあります。
1月25日に行われた市民福祉委員会、市民との意見交換会では、こどもを育てやすいまちづくりと題し、産婦人科医、小児科医、助産師、保育士、子育て団体の皆様と課題の抽出、共に政策を考え、実現していく方法として、対話型での共創ミーティングが行われました。お話の中で産婦人科医の先生より、「保険診療になったことや不妊治療への支援がかなり充実してきた。ここ最近は、20代の方が治療に来るようになった。支援のおかげで環境がよくなり、受診しやすい環境になったと思う。しかし、43歳以上が保険診療から外れてしまい、受けられない制度がたくさんある。43歳、44歳でも治療がうまくいって出産できる方もいるので、支援があればいい。」という切実なお声をお聞きいたしました。
厚生労働省令和4年人口動態統計の母の年齢・出生順位別に見た出生数では、第1子総数35万5,523人のうち、40歳から44歳までは1万5,654人の赤ちゃんが生まれ、全体の4.4%、45歳から49歳では662人で0.18%です。第2子、第3子の数字は割愛しますが、可能性はゼロではないということが分かります。
本市の不妊治療費助成では、一般不妊治療費助成と不育症検査・治療費助成以外は43歳以上は対象外となります。
埼玉県児玉郡上里町では、妊娠を希望する方に平等に機会を持っていただけるよう、保険適用外の年齢の方を対象に不妊治療の助成を行いますとし、特定不妊治療費も対象になります。佐賀県唐津市でも、不妊に悩む夫婦の経済的負担を軽くするためとし、43歳以上の方を対象としています。高知県土佐市、北海道帯広市など、金額は様々ですが助成を行っています。市民との意見交換会の中でいただいた貴重な声、また43歳以上の妊娠を望む方にも平等に治療に当たっていただけるよう、本市でも導入のお考えはありませんか。
また、不妊治療費助成について、治療を受けたい方に対し、本市はどのような周知をされているでしょうか、併せてお教えください。
最後に、不妊治療と仕事との両立について伺います。
働きながら不妊治療を受ける方は、増加傾向とされていますが、厚生労働省が行った調査によると、仕事と両立ができないと答えた方は34.7%、両立ができず離職した方は16%、女性の場合は23%という結果が出ています。精神面での負担が大きいこと、通院回数が多いことが大きな理由です。
また、職場には一切伝えていないとする人が約58%。不妊や不妊治療はプライバシーに属することで、本人の意思に反して、知れ渡らないようにプライバシーの保護に十分配慮する必要があります。不妊治療を行っている方への支援がある企業は3割、不妊治療に利用可能な休暇制度や時間差出勤、テレワークや不妊治療費の助成制度がある企業もあります。資料2-1は、事業主・人事部門向けのマニュアル、資料2-2は、不妊治療を受けられる方と職場で支える上司、同僚の方向けのサポートハンドブックです。
また、優良な企業に対する新たな認定制度や環境整備に取り組み、休暇の取得、長期休暇を加算した事業主への助成金もあります。離職してしまうのは、企業にとっては大きな損失ですし、不妊治療を受けながら、安心して働き続けられる職場環境が重要であると考えます。
本市は、行政の立場から、不妊治療されている方と職場にどのように働きかけ、推進していくのか、御所見を伺います。
(市長答弁)
○市長(石川勝行)(登壇) 小野志保議員さんの御質問にお答えをいたします。
不妊治療費助成事業についてのうち、不妊治療と仕事との両立についてでございます。
不妊治療をされている方への働きかけといたしましては、相談があった際に、厚生労働省発行の不妊治療と仕事との両立サポートハンドブックや従業員と企業をつなぐツールである不妊治療連絡カードの活用について紹介するとともに、啓発に関し、引き続き市のホームページに不妊治療費助成事業に関する情報や厚生労働省の不妊治療と仕事との両立に関する記事を掲載し、情報提供に努めてまいります。
職場への働きかけにつきましては、不妊治療と仕事の両立のための様々な制度の利用、導入に当たっては、労働者、事業所双方にとってメリットがあるという周知、働きかけが必要であると考えております。
新居浜市子ども・子育て支援事業計画の基本方針であります子育て家庭を支えるまちづくりの取組として、事業所からの相談や支援の窓口となる関係各課が連携し、様々な機会を捉え、国の支援制度の周知、発信を行っていくことで、妊娠や出産、子育ての支援に努めてまいります。
(福祉部長答弁) ○福祉部長(古川哲久)(登壇) 不妊治療費助成事業についてお答えいたします。
まず、43歳以上の治療費補助についてでございます。
本市では、医療保険適用の不妊治療に対する費用助成を行っており、特定不妊治療については、医療保険法で定める回数や年齢制限に基づき助成を行っております。
厚生労働省の不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会には、加齢とともに妊娠、出産に至る可能性が低下し、かつ特に30歳代後半以降では、女性や子供への健康影響等のリスクが上昇する傾向が科学的調査の下、具体的な数値で確認されており、医療保険法に規定されている年齢制限は、安心、安全な妊娠、出産に資するという観点から定められているものでございます。
本市といたしましては、引き続き医療保険適用の不妊治療に対して助成を行うとともに、若い男女が妊娠、出産に関する正しい知識を身につけ、生涯にわたる健康づくりに取り組めるよう、妊娠前からの健康管理を目的とするプレコンセプションケアを推進してまいりたいと考えております。
次に、周知方法についてでございます。
不妊治療費助成事業の周知につきましては、市のホームページや市政だより、育児を応援する行政サービスガイド新居浜市ママフレへの掲載や市の公式LINEでの情報発信を行っております。
また、不妊治療を実施している医療機関にも御協力いただき、ポスターの掲示やチラシの配布を行っております。
(再質問)
○1番(小野志保)(登壇) 市長、妊娠を望む42歳と43歳の違いについて、御所見を伺います。
(福祉部長答弁)
○福祉部長(古川哲久)(登壇) 小野志保議員さんの再質問にお答えいたします。
42歳と43歳の違いは何かという御質問だったかと思いますが、どこの年齢で区切るのが正しいと考えているのかということを御質問されたという意味でお答えさせていただけたらと思います。
先ほど申し上げました国の不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会、こちらの報告書で、それぞれいろんな数値が示されております。その中では、例えば妊娠、出産に伴うリスクとして、前置胎盤であるとか、常位胎盤早期剥離であるとか、妊娠高血圧症候群のリスクが年齢とともにどうなっているのか、それからそれ以外でも妊産婦死亡率、流産の率等も同時に示されております。そうした中で、単語といたしましては、生産分娩率という言葉で、分かりやすく言うと、トータルとしての成功率といったようなものが示されております。それぞれのものについて30代、例えばこれで言うと、39歳、43歳、45歳というような具体的な数値の基にそれぞれの率が示されております。その中で厚生労働省の中で43歳という一つの数字が示されたものと理解しております。
42歳と43歳、43歳と44歳、45歳はどうなんだというような線については、新居浜市が判断するというよりは、医学会においてどこで線を引くのが一番女性にとっていいのかが、リスクと妊娠の可能性から判断されたものだと考えておりますので、42歳と43歳の違いをどうこうするというよりは、全体としての判断の中で、どこかで一応年齢的な基準が引かれたというふうに御理解いただけたらと思っております。
(再質問)
○1番(小野志保)(登壇) 次こそ市長のお声を聞きたいと思うんですけれども、令和6年度の施政方針では、妊娠から子育て期までの一体的な支援に取り組んでまいりますとおっしゃっておりました。本市の財政が厳しいのは重々承知しております。保険診療から外れてしまったことで諦めている方もいらっしゃいます。
また、経済的なことが原因で、治療を中断してしまったという方もお聞きします。諦めてしまう、治療を中断してしまうことに関して市長はどう思われますか。
また、そもそも不妊治療に対してのお考えをお聞かせください。
(市長答弁)
○市長(石川勝行)(登壇) 小野志保議員さんの再質問にお答えをいたします。
まず、不妊治療に対する考えでございますけれども、今現在人口が非常に減少している中で、子供を出産していただける方には不妊治療を行って出産していただいたらと思っております。
ただ、保険診療が43歳で切ったというところですが、先ほど部長のほうからも説明がありましたように、43歳を超えると親にも子にもかなりリスクが高くなるというふうなことで、国のほうで43歳というのを決めておるんじゃないかと私は思っております。そういう関係で、市としても不妊治療を行う場合には、43歳までに、ぜひ早いうちにやっていただきたいと、そんな意味を込めて一応43歳で切らせていただいておるというところでございます。
(再質問)
○1番(小野志保)(登壇) 私自身、不妊治療を受けておりました。精神的にも肉体的にも経済的にも大変苦しかったことを覚えています。先日、今回の質問のことを親友に言いました。切ない気持ち、苦しい気持ちを押し込めて生きるつらさ、お一人でも希望を持って生きていっていただきたい、彼女はそう言いました。本当にそうだと思います。諦めてしまい、希望を持てない、そんな新居浜市でもよいのでしょうか。御所見を伺います。
(福祉部長答弁)
○福祉部長(古川哲久)(登壇) 小野志保議員さんの再質問にお答えいたします。
不妊治療につきまして、いろんな言い方をされることがございますけども、実際不妊の原因というところを分析された資料を見ますと、例えばWHOでは、女性に原因があった、男性に原因があった、両方に原因があった、合わせると男女ともほぼ半々の原因であった。それから、日本国内の資料を見ますと、女性が約40%、男性は25%で4分の1が男性に理由があったというふうになっております。
ところが、実際の不妊治療に係る負担というのは、それまでの家庭におけるやり取りであったり、そうした家庭内、それから経済的な問題、そして社会的な問題それぞれの負担は、これは一方的に女性にだけ、ほぼ99対1ぐらいの割合で女性にだけそうした負担がいっているというふうに私どもとしては認識しており、そうしたところも配慮しながら、不妊についての広報等については考えていく必要があるというふうに考えております。
ただ、そうした部分は制度であったり、広報であったりの中で社会的に解決していく部分、例えば先ほどの仕事との両立などもその一つだとは思いますが、そのことと不妊治療に対する助成というのは、一つこれは一線を引いて考えていく必要があるんじゃないか。同時に、先ほど言ったような社会的な影響とともに身体的な影響、検査から治療そこから後の問題、それからリスク、これもほぼほぼ全て女性に係ってくる問題というふうに認識している中で、例えば先ほど御紹介がありました他市の例につきましても、他市で43歳以上に補助している市があるというようなところをお調べしたんですが、例に挙げられた4市町以外には、確認できませんでしたし、その4市町においても、逆に43歳までの保険以外の助成がなかったりというところの運用とされているようです。ですので、この制度につきましては、昨年度新たに保険適用になったというところがありますので、今から先、いろんな制度的な進歩も今後恐らくあると思いますし、それからもう一つ期待したいのは、こうした不妊治療を受けられる方が、どんどん今増えている中で、新たな技術革新の中で、女性や子供に対するリスクの軽減が図られたら生産分娩率等も向上して、また国の基準も見直されることになるのではないか。ただ現時点においては、国が一定判断した生産分娩率に基づく基準というのは、これは女性の母体も含めたリスク、社会的な負担を含めてここの線を引いたというのは、一定合理性があると思いますので、そうした面で、今後も制度の進展については、新居浜市もしっかり注視してまいりますので、現時点の制度運用というところで御理解いただけたらと思っております。
(再質問)
○1番(小野志保)(登壇) 人口減少対策のために妊娠、出産するのではありません。本市も43歳以上の方への助成と、あと平等に不妊治療が受けられることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。