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(質問)
○ 最後の質問になりますが、新居浜市美術館についてお伺いします。
新居浜市美術館は、市民、新居浜文化協会などの願いが実現され、平成27年に開館しました。学芸部門の運営は市の直営となり、美術館を含めた施設管理運営は施設管理者によって行われています。これは、総合文化施設としての性格を持つ美術館であり、市が目指す文化芸術のまちづくりにおいて非常に有効な手段であると思っています。指定管理者、民間事業者の取組にも期待が寄せられています。ただし、議会でも開館当時質問されているように、学芸業務と指定管理業務の明確な区分けが課題となっています。愛媛県総合科学博物館では、県と指定管理者の役割分担が明確にされており、同様の取組が求められていると思います。市でも役割分担を明確化し、より魅力的な運営を期待しています。
また、施設全体の指定管理についての議論もあります。平成28年2月には、山本議員から施設の管理運営を市直営の美術館も含め、コスト面から考えて指定管理にできないかとの質問がされています。当時の所管である教育長から、他館の作品を借用する際には、信用が最重要であり、市直営美術館として実績を積むことが必要で、指定管理の期間では、一定の技術と能力を持った専任の学芸員を継続して指定管理者が配置することは難しいと御答弁され、現状の運営形態が継続されています。
なお、美術館の館長については、山野英嗣氏が初代館長として着任しました。後任の館長には、元教育長の阿部氏が就任、その後は市職員が館長を務められ、次長級の方、課長級の方、そして今年度は主幹級の方が館長に就任しています。はて。
また、令和4年度には文化行政が教育委員会から市長部局に移管され、新たに文化スポーツ局が発足されました。この組織改編で、新市民文化センターの取組とともに、文化行政が市長に委ねられたことになります。今年度の事務概要説明を受けましたが、文化振興に対する取組が年々希薄になっている印象を受けました。今年3月の毎日新聞特集面で、指定管理者制度20年、変革期迎える美術館運営という記事が掲載されていました。日本博物館協会が2019年に行ったアンケート調査によると、回答した公立の美術館265館のうち、指定管理者制度を導入している館は92館で約3分の1です。指定管理者は、自治体の外郭団体などが担うケースが60.9%、民間企業、NPO法人は合わせて25%だということです。また、指定管理者制度を導入したが、その後直営に戻したとする美術館も5館あったと報告されています。その理由としては、予算の縮減やサービス向上の観点から採用したが、他館の状況を調べたり文献などを検討した結果、将来的には有益でないと判断したそうです。地元の作家を掘り起こすという使命や社会教育施設としての役割を考えた中での判断だったようです。美術館や博物館が他の文化施設と違って指定管理者制度を活用する難しさが浮かび上がっています。美術館の運営においては、美術館の使命、役割、地域における存在価値など、明確な理念を持つことが重要であると考えます。その上で、戦略計画や中長期計画の策定、予算、人員体制の確保などしっかりと運営管理を行う必要があると考えます。そう言いながら、市の財政が逼迫する中で、文化政策とそれに係る予算に比重を置くことは容易でないかもしれません。しかしながら、これからは文化芸術に目を向け、地域づくりを考える自治体が市民の幸福度向上に貢献すると考えます。文化芸術を通じて地域の活性化を図ることは、設置者である市の大きな役割です。その理念を担うのは学芸員で、長期的な視野で調査研究をされる美術館運営には欠かせない存在であり、学芸員の育成は市の責務であると考えます。学芸員の育成も含め、美術館が市の文化行政の中心となるためには、体制の充実が不可欠です。取り留めのない質問となりましたが、私は、新居浜市の英断でつくられた新居浜市美術館、真鍋博さんデザインの銘板が掲げられている新居浜市美術館が、新居浜の歴史、文化、芸術の発信拠点としてさらなる飛躍を遂げることを期待し、市の使命として成し遂げていただきたいと願うものです。これからの市の文化行政、美術館の体制充実についてどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。
(市長答弁)
○市長(石川勝行)(登壇) 新居浜市美術館についてお答えをいたします。
新居浜市美術館の管理運営体制につきましては、開館当初より美術館の学芸業務を除き、指定管理者制度を導入しており、指定管理者も毎年美術館を活用した企画を担うなど、施設の目的を最大限に発揮できる取組を進めてまいりました。
美術館が設置されているあかがねミュージアムは、太鼓台ミュージアム、にいはまギャラリー、アート工房、360度シアター、多目的ホール等を備えた複合施設として、市民が文化芸術を身近に感じ、創作や鑑賞など様々な文化活動ができる本市の文化芸術活動拠点として、市内外の多くの方々に認知していただいている施設であると認識をいたしております。
来年度開館10周年を迎える新居浜市美術館は、これからも本市の歴史、文化、芸術の発信拠点としてさらなる発展を目指し、指定管理者制度の最適化を図るなど、運営体制の充実に取り組んでまいります。
また、現在、再整備を検討中の市民文化センターと両輪となり、将来にわたって市民や子供たちが身近に文化芸術に触れる機会を創出し、新居浜市文化芸術振興計画の基本理念である文化芸術の香りを未来に伝えるまちづくりの実現を目指し、文化行政に取り組んでまいります。
(再質問)
○10番(合田晋一郎)(登壇) 市長からの御答弁ありがとうございます。文化行政に対する取組を市長から語っていただいたことは大きいかと思います。
1つ再質問させていただきます。
今回、監査の指摘等を踏まえて、今後再募集に向けて取り組まれるということですが、具体的な詳細事項については今検討中だとは思います。その中で、新居浜市総合文化施設及び美術館協議会というのがありますが、これは市長の諮問に応じ、総合文化施設及び美術館の運営に関する事項について調査審議し意見を述べる場となっております。そういったところで、市の考えを協議会に諮って方針を決定していくということで、そういう認識で構わないかお伺いいたします。
(企画部文化スポーツ局長答弁)
○企画部文化スポーツ局長(守谷典隆)(登壇) 合田議員さんの再質問にお答えします。
諮問機関である新居浜市総合文化施設及び美術館協議会の意見を聞くのかとの御質問だったかと思います。
現在、仕様とかいろいろ庁内では検討いたしておりますが、その仕様書作成に向けて新居浜市総合文化施設及び美術館協議会を開催いたしまして、そこで意見を聞く予定といたしております。
(再質問)
○10番(合田晋一郎)(登壇) 市長も言われたとおり、新市民文化センター、あかがねミュージアムと市の文化行政を担う大切な施設であります。そういったところで、今後の運営形態について変更する場合については、市長から諮問という形になっておりますので、当然市の案が出てからの話になろうかと思いますが、先ほど局長からお話のあった新居浜市総合文化施設及び美術館協議会等において、そういったことについてはより審議していただければと思います。
最後になりますが、先ほど文化行政に対する市の強い意志、理念というのは市長からのお話で感じました。
最後に、この「新居浜―日本(工都)の美術史と地方創生」(資料を示す)、開館当時に発行されたものですが、この中には、郷土美術館から市民待望の新居浜市美術館として開設し、一地方都市のチャレンジとして、総合文化施設としての特色を生かした今後の展望が語られています。運営に関しては、多目的で雑多な施設とならないよう、それぞれの分野の独立性を保ちながら、相互の連携が重要であると述べられています。本書の最後には、新居浜市美術館が目指すものという章があり、市民の方々に待ち望まれていたかを実感し、これからの活動に展開していくことに対して意気込みが述べられております。何より魅力ある企画、そして親しまれる館運営に努めたいと結ばれています。これからの文化行政、新居浜の発展……。(ブザー鳴る)