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(質問)
○14番(越智克範)(登壇) 自民クラブの越智克範です。
通告に従って質問させていただきます。
まず、財政調整基金についてです。
財政調整基金は、市町村等の自治体において、財源不足や突発的な財政需要の増加といった財政リスクに対応するために積み立てられてきた基金であります。
近年、日本におけるこの基金の総額は、増加傾向にあり、2006年度の2兆9,046億円から2015年度には5兆6,594億円とこの9年間でほぼ倍増しています。この著しい増加は、人口減少や少子高齢化の影響で厳しい財政運営を強いられる中、多くの地方自治体が、将来の財政不安から、財源対策を推し進めた結果であると推測されています。
新居浜市においても、2009年度の残高が約38億円であったのに対し、2013年度には約57億円に増加しており、全国の傾向と合致していると言えます。
しかし、これ以降、特に2016年度に約8.8億円減少し、さらに2018年度から加速度的に基金の残高は減少し、令和4年度には約14億円となっています。市長が昨年9月議会で、残高が約1億円程度に減少すると発言されていますが、これは予算補正時点での数値であり、本来基金の残高として報告されている出納整理期間末日の値ではないと思われます。
まず、現状を把握している範囲で、令和5年度に取り崩した金額とその理由並びに基金残高はどのようか、お示しください。
次に、一般的に財政調整基金は標準財政規模の10%から20%が適正とされていますが、新居浜市の標準財政規模が約300億円であるため、市としての適正規模は、これまで30億円から50億円としてきましたが、この金額は市の積立基準として妥当性について議論されてきたのか、また市として管理すべき対象とはしていないのか、お伺いします。
市の財政調整基金条例では、市長は財政上、必要があると認めるときには、確実な繰戻しの方法、期間及び利率を定めて、基金に属する現金を運用することができるとありますが、確実な繰戻しの方法などはどのように定めて運用してきたのか、また基金の取崩しに関して運用のルールはないのか、お伺いします。
次に、2016年度の減少並びに2017年度からの大幅な取崩しの要因についてお伺いします。
報道には、高校生の医療費無償化、市防災センターの建設費、ICT教育のタブレット端末推進費、会計年度任用職員の昇給分などが要因とされていますが、これら各項目での取崩し額はどのようか、またこれ以外での要因はないのか、お伺いします。
さらに、実質単年度収支への意識が少なかったとも言われていますが、決算時に監査委員から提出されている会計決算審査意見書、基金運用状況審査意見書には、平成30年度から5年間にわたって、実質単年度収支が大幅な赤字であることが繰り返し報告されています。この件に関し、どのような認識で、またどのような対策を講じてきたのか、物価高騰や福祉、教育に重点的に取り組まれてきた経緯は理解できますが、予算編成において改善すべき点はなかったのか、特に大型事業の実施において、設計仕様や施工費の精査はどのように行ったのかについてお伺いします。
また、このような状況下で組まれた令和6年度の予算編成において、単年度収支の赤字を防ぎ、厳しい要求に対応するために指示が出されていますが、その中に新居浜市が他市に比べてサービスが過剰ではないかと考え、市が負担しているサービスの確認を行い、見直すよう要望を出していますが、具体的にはどのようなサービスが対象と考えているのか、またこの見直しはどのように行われたのか、お伺いします。
次に、今後の対応として、財政調整基金を30億円から50億円に積み立てていくことへの対応でありますが、どの程度の期間で当初の目標額を達成する予定なのか、そのためにどのような管理体制を取るのか、お伺いします。
決して人員削減のみに期待するのではなく、またサービスの低下を起こすことがないように、新居浜市の誇れる事業を継続できるように考慮していただきたいが、いかがお考えか、お聞きします。
近隣各市の財政調整基金は、このコロナ前後で増加傾向にあり、特に今治市は令和4年度に170億円を超える基金残高を保有しています。西条市でも、一時減少した基金がこの2年間で増加に転じ、56億円となっています。基金残高が大きいほうが、行政として事業の運用が優れているということは言えませんが、今後の大震災などのリスクを考慮すると、速やかに基金の積立額の増加を推進することが必要と考えますが、御所見をお伺いします。
(市長答弁)
○市長(石川勝行)(登壇) 越智議員さんの御質問にお答えをいたします。
財政調整基金についてでございます。
まず、財政調整基金の適正規模についてでございます。
財政調整基金の規模につきましては、平成16年の豪雨災害時の災害復旧に要した費用を考慮し、標準財政規模の10%から20%程度の30億円から50億円の基金残高が必要であるという認識の下、市において管理を行ってまいりました。
次に、目標額の達成期間と管理体制についてでございます。
まず、令和6年度当初予算編成後の残高は、約13億円から令和7年度当初予算編成後の残高として20億円を確保することを短期的な目標といたしております。その後、財源に余裕のある年度での積立てを図り、中長期的には30億円から50億円程度の残高が確保できるよう、予算、決算、運用の管理を包括的に行ってまいります。
次に、事業の継続と速やかな基金積立額の増加についてでございます。
現在、厳しい財政状況ではありますが、事業の取捨選択を行い、市民サービスの水準維持と持続可能なまちづくりの実現に向けた施策を進めてまいります。
また、適正規模での予算編成を行うとともに、これまで抑制していた起債の発行やその他基金の活用等により、財政調整基金につきましてはできる限り早期の回復に努めてまいります。
(企画部長答弁)
○企画部長(加地和弘)(登壇) 令和5年度の取崩し金額とその理由及び残高についてお答えいたします。
令和5年度の財政調整基金の取崩し額は4億円で、物件費や人件費等の高騰により不足する財源として繰り入れるもので、5月31日時点で基金残高は約16億円となります。
次に、確実な繰戻し方法、また基金の取崩しに関する運用ルールについてでございます。
基金の運用につきましては、元本の償還が確実な金融機関への預金により運用を行っております。また、取崩しにつきましては、予算編成時に補助金や起債等の歳入と歳出の差額の不足額を埋めるための財源として取り崩しております。
次に、2016年度の減少及び2017年度以降の大幅な取崩しの要因についてでございます。
まず、2016年度の減少につきましては、生活保護費の増加に伴う歳出の一般財源額が約1億5,000万円増加したことに加え、歳入では法人市民税が約8億9,000万円の減となったことが大きな要因と考えられます。
次に、2017年度以降の主な要因である各事業の開始から、2022年度までに要した一般財源額といたしましては、高校生等医療助成費が約1億円、総合防災拠点施設建設事業が約9億4,000万円、小中学校ICT環境整備推進事業費が約11億2,000万円の合計約21億6,000万円となっております。
会計年度任用職員の昇給分につきましては、勤務時間や職種、また勤続年数等によって報酬単価が異なりますので、決算ベースでの影響額の算出は困難でございますが、2023年度の人事院勧告及び昇給に伴う影響額を約1億円と積算いたしております。
その他の要因といたしましては、公債費が増加傾向にあり、2018年度と2022年度の決算額の比較では、長期債元金償還金が約4億9,000万円の増となっております。また、歳入では、交付税及び臨時財政対策債の合算額が減少傾向であり、2018年度と2022年度の決算額の比較では、約4億9,000万円の減となっております。
次に、実質単年度収支についてでございます。
財政調整基金につきましては、経済事情の変動等により、財源が不足する場合においては、取崩しはやむを得ないものと認識いたしておりますが、災害復旧費等の不測の事態に迅速に対応するためには、一定の残高を確保しておく必要はございます。そのため、実質単年度収支の改善対策として、2021年度及び2022年度にはサマーレビューを、2023年度には経常経費ヒアリングを実施した後に当初予算編成作業を行い、当初予算における歳出予算の削減に取り組んできたところでございます。
次に、予算編成における改善点についてでございます。
当初予算編成作業につきましては、事業担当課へのヒアリングなど例年約2か月間にわたる予算査定事務のプロセスの中で、大型事業に限らず、仕様や見積額の精査を行い、事業費を見直しながら、予算書の調製に向けた作業を進めております。
しかしながら、厳しい財政状況が続く現状を踏まえ、令和7年度当初予算編成に当たっての改善点といたしまして、今年度は大幅に日程を前倒しして編成作業に着手することといたしております。
次に、令和6年度予算編成におけるサービスの確認、見直しについてでございます。
見直し対象のサービスにつきましては、令和6年度当初予算編成に向けた経常経費ヒアリングにおいて、事業の廃止、凍結を前提とした幅広い視点で、特別会計16事業を含む296事業について見直しのヒアリングを行いました。
重点項目として、会計年度任用職員数を人数、配置の必要性、従事する業務の必要性の点から見直しを行い、令和6年度当初予算では54名、約1億4,000万円の削減となりました。
(再質問)
○14番(越智克範)(登壇) 質問というか確認なんですが、基金の積立額というのが30億円から50億円という話でしたが、常にこれが正しいとは言えないと思うんです。財政収支見通しを考慮して、将来を見通して、目標額の見直しを行うべきではないかと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
それともう一つ、取崩しのルールの必要性についてはどうお考えでしょうか。
(企画部長答弁)
○企画部長(加地和弘)(登壇) 越智議員さんの御質問にお答えいたします。
目標額の設定、規模についてでございますが、やはり災害等を考慮しまして、30億円から50億円を目標にしておりますが、まずは今現在少ない状況でございますので、来年度の当初予算編成後には20億円、これを目標にして達成したいと思っております。
それと、取崩しのルールですが、やはり経済の変動による対応に必要ということで、そちらにつきましては歳入歳出の差額で結果的に決算として取り崩すという形になっておりますので、そういった行政サービスの維持に努めて、基金残高が減少することは若干致し方ないというふうには考えております。
(再質問)
○14番(越智克範)(登壇) 基金の積立管理については、今後は適切な運用を心がけて積み立てていただきたいと思います。よろしくお願いします。