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(質問)
○ このような中においても、私は子供たちの未来を支える教育予算についての削減は、できる限り行わないでいただきたいと強く願っております。教育は、新居浜市の将来を担う人材を育成する重要な基盤であり、予算削減が教育の質の低下や子供たちの学びに影響を与えることは避けなければなりません。教育は、未来への投資であり、本市として最大限の努力を持って支援していくことが重要と考えます。しかしながら、財政状況が厳しい中で、教育委員会としても歳出抑制への対応を取らざるを得ない状況であることも理解しております。
そこで、教育についてお伺いいたします。
初めに、グローバル・ジュニア・ハイスクールの今後についてです。
別子中学校は、2016年に新居浜市の学び創生事業により、グローバル・ジュニア・ハイスクールとして生まれ、目指すべき学校の目標として、別子山地域の美しい自然を生かした感動と感性の学校づくりとグローバル時代に対応した創造力豊かな青少年の育成を図り、広く社会に貢献する知徳体を備えた全人教育を推進されており、地域と共にすばらしい学校を構築されていることは理解いたします。
しかしながら、本事業には、年間約4,000万円の費用が計上されております。これまでの取組に対して、一定の成果があったことは理解しておりますが、現在の社会情勢や教育予算の逼迫を踏まえ、この多額の費用が今後も継続して投入されるべきか、改めて検討する必要があると考えます。さきの議会において、国際バカロレア認定校への挑戦を提案したところ、グローバル・ジュニア・ハイスクールとしての体制構築がなされつつあることから、まずはその確固たる基盤をつくることが先決であるとの答弁をいただきましたが、このグローバル・ジュニア・ハイスクールの定義とこれまでの検証結果、教育委員会における位置づけを教えてください。
また、他の学校との比較において、この費用が相対的に妥当かどうか、お考えをお聞かせください。
土台となる部分を形成する中等教育の重要性に加え、別子地区の皆さんにとって非常に重要な学校であることは言うまでもなく理解しておりますが、今後の大きな方向性をお示しください。
(教育長答弁)
○教育長(高橋良光)(登壇) 教育についてお答えいたします。
グローバル・ジュニア・ハイスクールの今後についてでございます。
グローバル・ジュニア・ハイスクールの定義についてでございますが、本市におきましては、平成28年度から未来につながる知徳体を備えた全人教育を展開し、世界に羽ばたくリーダーを育成する中学校という認識の下で取り組んでおります。
これまでの検証結果、位置づけといたしましては、英語教育において、在校時に多数の英検2級合格者を輩出したり、生徒がふるさと別子夏まつりの復活を手がけたり、別子山地域の農家の人たちと連携して野菜を作り、マイントピア別子で販売会を行う別子ファームを核とした地域と学校が協働する学びの創造活動を構築したりするなど、別子山に小中学校を残してほしいと希望した住民の願いを背負った別子中学校の存在は非常に大きく、期待以上の成果を上げているものと評価しております。
費用が相対的に妥当かにつきましては、人口減少と過疎化が著しく進展する別子山地域において、先ほど申し上げたとおり、学校を拠点とした地域の活性化と町の魅力創出を図るための地域コミュニティーの核としての側面もあり、4,000万円の事業費から寄宿舎実費徴収金を差し引いた約2,600万円につきましては、一定の評価がなされるべきものと考えております。
今後の方向性につきましては、神野議員さんも御案内のとおり、別子山地域の皆様にとって非常に重要な学校であると認識しておりますことから、継続をしてまいりたいと考えております。
(再質問)
○11番(神野恭多)(登壇) 大きな方向性としては、継続ということだったんですが、別子地区の活性化という目的に対しての手段に子供たちが選ばれていないのかと不安になるんですが、そのあたりお聞かせください。
(教育長答弁)
○教育長(高橋良光)(登壇) 神野議員さんの御質問にお答えをいたします。
別子活性化の手段に子供たちがなっていないかというようなことでございますが、教育としてのアプローチですから、主体は子供です。ここまでの8年間あまりの取組で、この別子で学んだ子供たちが、うたっております知徳体を備えた全人教育、これについては、ここまでのところ、一定の評価が出せる、そういう内容になっていると思います。しかしながら、まだ大学の3年生が一番最初のお子さんであります。その先、社会に出て、実際に具体的にそのお子さんたちがどのような人生を送っていくのか、卒業生は毎年必ず親子共に呼んでこの3年間の別子の生活がどのようなものであったかということを話す、聞く機会も設けておりますし、最初のお子さんたちが大学を出て、具体的に言うとあと2年、10年たった段階で、どういうふうな道筋で生きているのか、そういう生きざまも今後この別子中学校の方向性を考える上では大きな参考の一つになるのではないかと思っております。もとより、学び創生事業ということで、別子地域の手段として子供たちが使われているのではなく、子供たちを別子で育てることにおいて、子供たちの成長がある。そして、そのことによって、別子地域も活性化していく、これが学び創生事業というものでありますので、決して子供たちを使って別子の手段にしているという考えは私どもにはありません。あくまでも子供一人一人を見詰めていって、支援をしていくと。そのことで別子の皆さんが明るさと生きがいを持って生きていけているという形になっていけば、私どもとしても非常にうれしいというふうに思っています。
それと併せて、前回、国際バカロレアのお話もいただきました。それに近いものは、現在も子供たち、自主的に主体的に学校生活の中で自分の意見を表明して、そして人の意見を聞きながら、自分たちの生活を構築していったり、そういうものが見えてきておりますので、国際バカロレアを目指すのかどうかにつきましては、まだ検討の余地が必要かと思いますけれど、そこにうたわれているような精神であったり、その内容に近いものは、現在も順調に進んでいっているというような認識は持っておりますので、もう少し時間をかけながら、大きな方向性については考えていきたいと思っております。
(再質問)
○11番(神野恭多)(登壇) ありがとうございます。私自身は、財政状況を見た上でも大きくかじを取るタイミングに感じているのが正直なところです。この定義もいただきましたが、新居浜市では一定定着しつつあるものではありますが、ほかの県外、また首都圏に出てグローバル・ジュニア・ハイスクール、新居浜市のことを言っても、これは何を定義をしているのかと、バカロレアなんかだったらどこに出ても通用するような資格というものになります。そういった一定のものを目指すんであれば、一定今後の大きな方向性にもつながるとは思いますが、まずは2年後の結果というものをそれでは待ちたいと思いますが、改めて1点だけ教えてください。
学力による選抜はないと伺っていますが、選抜方法を改めて教えてください。
(教育長答弁)
○教育長(高橋良光)(登壇) 選考につきましては、毎年対象となる6年生全員に入学者の募集ということで要項をお配りしております。そこには募集する生徒像、そして募集定員、資格等を示しております。それに基づいて、その中にも示しておりますけれども、入学許可をする者の選考について、次のように説明をしております。1つは、選考委員会において、作文、面接及び提出された書類等を資料として、総合的に選考し、入学許可者を決定する。つまり、ここにうたっております別子中学校の募集する生徒像、この生徒像にふさわしい児童を選考していく、総合的に選考するというような形で現在も開校当時から同じ方法で選考を行っておるところでございます。
(再質問)
○11番(神野恭多)(登壇) 教育長も御存じだとは思いますが、この選考に漏れた子が学校に行けなくなった事例だったり、別子中学校を卒業後、高校に行って集団生活になじめなくて、高校を辞められた子なんかもいると思いますので、そのあたりの対応、しっかりと取っていただければと思います。
また、例えばですが、集団行動が苦手な子供たちの一つの選択肢として別子中学校を活用するほうが持続可能であり、学校に行きづらい子の多さという本市の大きな課題解決へとつながっていくと考えますが、いかがでしょうか。
(教育長答弁)
○教育長(高橋良光)(登壇) 神野議員さんの御質問にお答えをいたします。
卒業して高等学校に進む中で、進路変更したりというお子さんがいることも事実でございますし、少人数の寮生活をしてきた中で、一斉授業で環境が変わるというところで戸惑いを感じておるお子さんがいることも事実であります。しかし、その戸惑いの中で、さらに自分の行く道を定めて、力強く進んでいる子がおることも事実でございます。ずっと卒業後も関わり続けてというところはなかなか難しいところですけれども、しかし別子の強みの一つは、卒業しても様々な機会に先輩たちが学校に帰ってきて、後輩たちと交流するというのは別子の非常に強み、ということは、狙いとしておる別子山の地域の人たちとの交流したこと、そして共同で過ごした寮生活等がそれぞれ子供たちの心の中に大きな力となっていることも事実でございます。それも含めて、評価するにはもう少し時間が要るのかなということは思っております。何分小学校6年生の段階で最初の進路の選択を本人を中心に保護者の方と一緒にしていくわけですので、年齢を考えるとうまくいかなかったときに受けるショックも非常に大きいものがあるということは当然私どもも思うわけですけれども、しかし、かといって全員を受け入れることができるキャパシティーもありませんし、そういう意味において、それぞれの保護者、それから学校の先生方の協力を得ながら、大きく子供たちが自分の進路をストップさせないようにはしていきたいと思っております。
もう一点、不登校対策ということで、従前小規模特認校制度というのを別子は取っておりました。この時代に不登校等で別子中学校に進んでいたお子さんもおりました。しかしながら、平成28年度からこのグローバル・ジュニア・ハイスクールということで、寮を建設して、寮生活を送る中での別子の取組を進めてまいりましたので、先ほどの御質問に多分つながるんだろうと思いますけど、欠席とか成績とかだけで見ないでほしいと。それだと不登校のお子さんが行けないというような思いで恐らく御質問なさっていると思いますけれども、一番はやはり要項に示しているとおり、この別子の考え方というものを理解していくことが大切と思っております。中には残念ながら選ばれなかったお子さんが、別子にお住まいになって、別子中学校に通ったという事例もありますので、また現在、別子においでるお子さんたちが、一緒にこのグローバル・ジュニア・ハイスクールの一員として通学もしておりますし、勉強もしておりますので、あくまでも公立の中学校の一つの制度の中で、可能な形で教育を推進しておるというような認識で御理解いただけたらありがたいと思います。