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2 福祉行政について/(1)認知症の人に寄り添う地域社会

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ページID:0144533 更新日:2024年11月26日更新 印刷用ページを表示する
<外部リンク>

議員氏名

高塚広義

本会議年

令和6年

定例会月

9月

内容

(質問)
○ 次の質問に移ります。
 福祉行政のうちの認知症の人に寄り添う地域社会の構築について伺います。
 国内の認知症の高齢者数は、65歳以上の人口がピークを迎える2040年には約584万人、軽度認知障害、MCI高齢者数が約612万人に上ることが推計される中で、誰もが認知症になり得るという認識の下、共生社会の実現を加速することが重要と考えます。認知症の人を単に支える対象として捉えるのではなく、認知症の人を含めた国民一人一人が尊厳ある人としてその個性と能力を十分発揮しながら共に支え合って生きる共生社会の実現を目指し、本年1月に認知症基本法が施行されました。特に、地方公共団体は、認知症の人やその家族等にとって身近な行政機関であるとともに、認知症施策を具体的に実施するという重要な役割を担っています。認知症の人も家族も安全に安心して暮らせる地域の構築への取組が必要と考えます。
 新居浜市においても、市民お一人お一人が自分事として身近な問題として捉えていくことが重要と考えます。
 そこで、行政が軸となり、小中学校の児童生徒、地域の企業、経済団体や自治会等と連携し、認知症サポーター養成講座のさらなる展開や新しい認知症観を定着させる啓発資料の作成、配布など、認知症に関する知識及び認知症の人に関する理解を深める取組を強化すべきと考えますが、本市の御見解をお聞かせください。
 次に、認知症の人の尊厳ある暮らしを守るケア技法であるユマニチュードの普及について、認知症と軽度認知障害の方を合わせて1,000万人を超える状況下では、認知症の人や家族等が安心して穏やかに暮らせる生活環境の構築が必要と考えますが、実際には記憶障害や認知障害が起こる中で、当事者や家族の不安から、行動・心理症状、BPSDが発生し、それまでの家族関係が損なわれてしまうことも少なくありません。
 そこで、認知症の人の尊厳ある暮らしを守る上で、一人でも多くの市民が、認知症の人に対する適切な接し方を身につけて、認知症の人の行動・心理症状、BPSDの発生を抑制することは、特に重要であると考えます。そのための効果的な技法として、あなたを大事に思っていることを見る、話す、触れる、立つの4つの柱で相手が理解するように届けるケア技法で、見るとは、相手がのけぞらない距離まで近づき、同じ目線の高さで正面から見詰める。話すとは、低めのトーンで穏やかにゆっくりと抑揚をつけ、前向きな言葉で話す。触れるとは、つかまず、下から支えて、触れている面積をできるだけ広くする。立つとは、1日に合計20分間立つことで寝たきりを予防する。この技法をユマニチュードと言い、注目されています。介護の現場では、一生懸命にケアをしても、相手から拒否されたり、暴言を受けたりすることがあるようです。実際に口腔ケアを嫌がり、声を荒げていた90代の男性に対し、看護師がこのユマニチュードを実践したところ、その男性は抵抗せず、口を大きく開け、口腔ケアを受け入れ、笑顔を見せていたそうであります。国内の研究結果でも、認知症の方の行動や心理症状が15%ほど改善され、ケアする側の負担感も20%軽減したとの有効性が確認されています。また、このユマニチュードに先駆的に取り組んでいるフランスの一部施設では、離職したり欠勤したりする職員が半減したほか、鎮静剤といった向精神薬の使用量を9割近く減らしたという報告もあります。また、福岡市では、2016年度に家族介護者や病院、介護施設の職員を対象としたこのユマニチュードの実証実験を実施したところ、暴言や徘回などの症状が軽減し、介護者の負担感も低下したといった効果が見られたそうです。そこで、福岡市は、2018年度に町ぐるみの認知症対策としてこの技法を導入し、このユマニチュードの市民講座などを本格的に展開しており、対象者は家族介護者や小中学生の児童生徒のほか、市職員や救急隊員など、多岐にわたっているようです。講座を受けた市民からは、もっと早く知っていればよかった、今後は介護をする人たちに私たちが伝えたいとの声が多くあり、福岡市では、こうした声を受け、ユマニチュードの取組を継続的に実施するため、今年4月から市役所福祉局の中にユマニチュード推進部を新たに設置しております。
 本市においても、認知症の方と日頃接している御家族や介護従事者など、多くの方がつらい思いをされているのではないかと推察されます。認知症の人の行動・心理症状、BPSDの発生を抑制し、認知症の人と家族等の尊厳ある暮らしを守るために、ユマニチュードの導入、普及について前向きに検討していただきたいと考えますが、御見解をお聞かせください。
 次に、地域における認知症ピアサポート環境の整備について伺います。
 若年性認知症の方々も含めて、認知症の人が生きがいや希望を持ち、その個性と能力を十分に発揮することができるよう、認知症の人の社会参加の機会の確保に向けて、家族や事業主が安心して適切な行動が取れる環境の整備も必要と考えます。特に、認知症と診断された後に、希望を失うことなく、新たな目標に向かって行動することができるように、認知症の人が自らの認知症に係る経験等を当事者同士で共有する機会を確保し、本人や家族の不安を軽減することは大変に重要であると思います。
 そこで、認知症の本人や家族等が、診断後、早い段階で同じ経験をした方々との情報共有や様々なアドバイスが受けられるように、インターネットによる交流も含めた地域における認知症ピアサポート環境の整備も重要と考えますが、御見解をお聞かせください。
 次に、認知症の人の行方不明者対策の強化について伺います。
 警察庁のまとめによると、2023年、全国の警察に届出があった認知症やその疑いがあった行方不明者が延べ1万9,039人に上ったことが明らかになりました。実際、認知症の行方不明者数は、2012年の9,607人から増え続け、近年は2倍に迫る状況で推移しているとのことです。
 そこで、質問ですが、本市の令和3年から3年間の推移状況についてお聞きいたします。
 今後ますます増加することが懸念される認知症の行方不明者に対し、一人一人の生命を守るため、本市としてどのように取り組まれていますか、お伺いいたします。
 例えば、GPS端末の積極的な活用に向けての負担軽減策の実施、また衣服等に貼れるQRコードが記載されたシール等の普及など、認知症の行方不明者の生命を守る取組が注目されています。このような取組の導入を検討してはと思いますが、御見解をお伺いいたします。
(福祉部長答弁)
○福祉部長(久枝庄三)(登壇) 福祉行政についてお答えいたします。
 認知症の人に寄り添う地域社会についてでございます。
 まず、認知症に関する知識及び認知症の人に関する理解を深める取組についてお答えいたします。
 本市では、出前講座に認知症サポーター養成講座を登録し、地域や企業などから依頼があれば講座を開催しており、小中学校においては、毎年受講希望を募り、現在ではほとんどの小中学校で講座を開催いたしております。
 近年、認知症の人や家族への理解をより深め、自分事として考えて学ぶといった視点が重視されていることから、今年度から講座内容の見直しを行い、周知啓発に努めているところでございます。
 また、知識、理解を深め、社会資源などの情報を掲載した認知症ケアパスがあり、認知症の人への接し方等の内容を充実させ、今月に改訂したところで配布を開始いたしております。
 9月は世界アルツハイマー月間・認知症月間です。市役所や図書館におけるロビー展、行政広報番組での放送、煙突山のライトアップなどを行い、新しい認知症観を広げていけるよう周知啓発に努めてまいります。
 次に、ユマニチュードの導入、普及についてでございます。
 認知症ケアの技法につきましては、御案内のユマニチュードなどが幾つかございますが、基本的な考え方においては、本市が取り組んでいるケアの考え方と共通しております。
 本市では、認知症サポーター養成講座や認知症ケアパス等で認知症の人と接するときのポイントを示しており、その人を尊重した対応が重要であることや、適切な対応により行動・心理症状が改善する場合があることなどを説明しております。そのため、ユマニチュードの導入、普及が直ちに必要とは考えておりませんが、今後も認知症ケアの先進事例の研究を進め、認知症の方本位のケアや対応が広まるように取り組んでまいります。
 次に、認知症ピアサポート環境の整備についてでございます。
 本市には、認知症ピアサポート環境として、7か所の認知症カフェがございます。本人や家族が認知症について気軽に話せる憩いの場となっており、地域や専門識者とのつながりを増やす機会にもなっております。
 今後も認知症カフェの運営者と連携を図りながら、より効果的な環境の整備に努めてまいります。
 次に、認知症の人の行方不明者の推移についてでございます。
 本市において把握している行方不明者数の推移は、令和3年度4件、令和4年度4件、令和5年度8件となっております。
 次に、認知症の行方不明者に対する本市の取組についてでございます。
 認知症の行方不明者一人一人の生命を守るための取組といたしましては、認知症高齢者SOSネットワークがございます。認知症高齢者が行方不明になったとき、登録していただいている協力機関に行方不明者の情報を配信し、地域の見守りによる発見を目指すものでございます。事前に本人の顔写真を含む特徴等を登録していただき、行方不明になったときに情報提供を素早く行うことで早期発見が期待できますことから、引き続き事業の周知を図ってまいります。
 次に、認知症の行方不明者の生命を守る取組の導入の検討についてでございます。
 GPS端末やQRコードを記載したシールなどの導入につきましては、これらの取組を活用することで行方不明者の早期発見につなげることが可能となります。
 一方、認知症であることが周囲に分かってしまうことで、詐欺被害等の犯罪に巻き込まれる可能性があることや本人がGPS端末やQRコードを記載したシールを必ず身につけて外出するとは限らないという問題点がございます。
 本市においても、スマートシティー実現に向けた取組として、令和3年にGPS端末を活用した高齢者見守りの実証試験を行いましたが、GPS端末の管理や持ち運びに適した形状、アプリの操作性など多くの課題がございました。
 このことから、現時点でこれらの仕組みを導入する予定はございませんが、今後、他市の取組状況等を参考にしながら、慎重に判断してまいります。
(再質問)
○19番(高塚広義)(登壇) ありがとうございました。
 認知症家族ピアサポート活動、これは御家族、介護者同士の相互交流などにより、心理的負担を軽減する支え合いによる心のケアを柱とし、認知症カフェ、今市内では7か所、認知症介護教室とカフェとの連携により、相乗効果が生まれると言われております。ぜひ今後の参考にしていただきたいと思います。