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(質問)
○ 文化スポーツ施設の考え方についてお伺いいたします。
誰もが気軽に利用できる東雲陸上競技場は、市民のスポーツの機会創出に寄与し、数多くの利用者が訪れ、理想的な運用が図られています。今年度の予算措置によって、表面ラバーの張り替えが行われ、くたびれていた走路が更新されて走りやすくなると期待しております。陸上業界に長くいる私としては、一言述べさせていただきますと、国内には記録が出やすいと言われる競技場が幾つかありまして、大きなポイントは、ラバーの硬さと風の向きです。国領川河川敷の風は、ほぼ1年を通して海から吹き上がってきて、競技場ではちょうどいい追い風になります。アスリートのパフォーマンス向上に対して、努力だけではどうしようもないのが自然環境でして、日頃の鍛錬を締めくくるための何物にも代え難い価値がそこにあります。昨年の9月議会で、スポーツツーリズムについて触れさせていただきましたが、明確な目的達成のために、その地に出向くこともまた新しい旅の形となり得ます。四国のほぼ中央に位置して、どこからもアクセスがしやすい本市は、これまでも市外からたくさんの旅行客を受け入れてきました。全国でも屈指の記録の出やすい競技場として整備されれば、短距離のメッカとして全国からスプリンターに訪れてもらえる可能性があると感じています。関係人口、交流人口とは、住民基本台帳には載らない市外から仕事や学校、観光などによって訪れる人のことを指しますが、人口減少が叫ばれている中で、本市に関わる人口を増やし、市民と交流できる環境が整えられれば、いずれ移住を検討する人も増えるはずです。
さて、専門的な話になりますが、今回のパリオリンピックの男子100メートルの決勝で優勝したアメリカのノア・ライルズ選手の記録は、追い風1メートルの中で9秒79でした。最下位でも9秒91で、その差は0.12秒、距離にして1メートルちょっとの間に8名がひしめき合っています。短距離種目は、写真判定機と風速計がなければ、結果を正確に計ることはできず、今では当たり前に競技場に付随するものです。私が現役時代には、プロ野球選手が走った50メートルの記録が、日本記録を上回ったとスポーツ紙をにぎわせるようなことがありましたが、ストップウオッチの記録とはその程度のものです。今後の東雲陸上競技場の整備に当たっては、写真判定機の導入など、施設が古くても運用に不便を感じさせない実情に合わせたレベルアップが必要だと考えますが、本市のお考えをお伺いいたします。
何かを成し遂げたいという利用者の欲求を満たすのが文化スポーツ施設だと思います。これまでの箱物主義から脱却して、演じる人、支える人、それを見て感動する人の一体感を醸成し、それぞれの夢を実現して成長させる施設であるべきと考えます。現在、建設に向けて基本計画を作成した市民文化センターについて、そのような視点での検討も加えていただくようにお願いいたします。
遠方からでも来たいと思われる、人を引きつけられる施設になれば、市民は文化センターに誇りを持ち、利用することに優越感と喜びを感じるはずです。少々先延ばしになってしまった感のある総合運動公園の構想についても、まずは今ある施設を時代の欲求に応えて上手にリニューアルしながら活用することで、おのずとニーズは明確になり、それを踏まえて設計されれば、市民にとって誇れる施設になると思います。まずは、スポーツ、文化、芸術、それぞれの団体の活動の高まりが先にあるべきで、その機運を逃すことなくサポートし、盛り上げていく体制が誰一人取り残さない市民に優しい市政運営に必要ではないかと思います。例えば、市民体育館のウエートリフティング場ですが、しっかり整備された施設は、全国規模の大会を開催した実績もあり、市内外の競技者が日々切磋琢磨して力をつけることで好成績に結びついています。
一方で、以前から競技レベルの高いバドミントンですが、著名なコーチを招聘した強化練習の会場で見学させてもらった際、山根総合体育館の競技スペースに冷房設備がなく、窓を閉め切った環境は、我慢大会の様相でした。記憶に新しい昨今の夏の気温上昇を考えれば、もはや室内の冷房設備は必須であると考えます。
また、昨年からフットサルの2部リーグに参画した本市唯一のプロスポーツチームであるミラクルスマイル新居浜について、昨日の神野議員の質問にもありましたが、私が視察に伺う自治体では、庁舎の玄関にプロスポーツを盛り上げる展示などがあり、取りあえず訪問した際には話題に上がります。市役所の目立つところでしっかりPRしていただくとともに、ホーム施設である市民体育館に対戦相手やサポーターを受け入れるためにほかのライバルチームのホーム施設と同等の環境を整えていただきたいと思います。本市では、我慢で済まされていることが、他の自治体では当たり前に行われていることもあります。これからの文化スポーツ施設は、健康増進や地域コミュニティーの醸成、社会参加の促進、防災機能などの市民に向けたサービスにとどまらず、観光客や来場者を受け入れて、地域経済の活性化を促進し、地域のブランドイメージを高めることで、定住意欲の高まりを期待したり、関連する産業が発展することで、地域に新たな雇用が生まれ、経済的な効果が波及するような施設であるべきと考えます。決して新たに立派な建物を造れと言っているわけではなく、利用者に寄り添い、創意工夫によって気持ちよく過ごしていただける施設整備があると思いますが、本市のお考えをお伺いいたします。
(市長答弁)
○市長(石川勝行)(登壇) 文化スポーツ施設の考え方についてお答えをいたします。
東雲陸上競技場の環境整備についてでございます。
東雲陸上競技場につきましては、小学生のクラブから中高生の部活動、市民ランナーまで、幅広い年代の日々の利用から、愛媛中学駅伝競走大会をはじめとする大会や記録会など、多くの市民に御利用いただいている施設でございます。
現在、日本陸上競技連盟の公認競技場として維持できるよう整備を進めておりますが、御提案の写真判定機の導入につきましては、人の手による計測と比べタイムの正確性の向上、コースごとに計測員を配置する必要がなくなるなどのメリットのほか、公認記録として適用されるとともに、大会等の運営効率化にも大きく寄与するものであり、非常に有用な手段であると認識をいたしております。本年7月には、新居浜市陸上競技協会より正式に導入についての御要望をいただいており、公認競技場としての機能向上、アスリートの育成環境の向上にもつながることから、前向きに検討してまいりたいと考えております。
(企画部文化スポーツ局長答弁)
○企画部文化スポーツ局長(守谷典隆)(登壇) 利用者に寄り添った施設整備についてお答えいたします。
市内の各施設につきましては、空調設備の導入に合わせ大規模改修を行いました市民体育館のように、長寿命化の対策を含め、設備面の更新も行い、利用される方が快適で気持ちよく使えるような施設となるよう、計画的な修繕や改修に取り組んでいるところでございます。
御案内いただきましたウエートリフティング練習場につきましては、本市の女性選手が増加している中で、女性選手にも快適な施設となるよう整備を進めました結果、オリンピアンの女性選手から、女性選手目線では日本一と言っていただくなど利用者のニーズに的確に応えることで、想定以上の効果が生まれてくると感じているところでございます。
今後におきましても、計画的な改修工事等により、長寿命化や適正な維持管理に努めますとともに、利用者のニーズをしっかりと把握し、利用者に寄り添った快適な施設整備に取り組んでまいります。
(再質問)
○3番(渡辺高博)(登壇) 東雲陸上競技場への写真判定機導入に向けて、積極的な御答弁、ありがとうございました。
これから人口が減少していく中で、新しい文化スポーツ施設がどんどん造られることはなくなると思います。既存施設を上手にリニューアルして、長寿命化にとどまらず、その時代の動向を見極めて、新たに現状に合った機能を付け加えることで、時代のニーズを補完できることもあります。いずれ総合運動公園構想が動き始めた際には、その積み上げが功を奏して市民に愛される施設を造るために役立つと思います。市民が利用することに喜びと誇りを持ち、市外からの訪問者にも気持ちよく使って充実した時間を過ごしてもらえるような施設になることをお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきます。