本文
(質問)
○ 続いて、成長期の行動と社会問題との関連についてです。
私が部活動などについてここまでしつこくしつこく掘り下げて聞いたのには実はわけがありまして、社会問題、特に不妊や高齢者の寝たきりなどと成長期の行動は大変密接につながっています。先ほども成長期の運動のし過ぎ、栄養不足や休養不足がけがのリスクを高め、心身の不調を引き起こし、女の子は月経が止まってしまうなど、命の危機的状況だとお伝えしました。これは、成長期である今現在の体や心に起こる問題です。実は、成長期のエネルギー不足からくる影響は、今現在の体と心だけではなく、数か月後、数年後、はたまた数十年後にも影響を及ぼすことが分かっています。運動のし過ぎを発端としたエネルギー不足だけではなく、行き過ぎたルッキズムや無理なダイエットからくる栄養不足による若年層の極端な痩せが本当に増えています。ある程度の体脂肪を蓄えることで、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが分泌されるようになるのですが、極端な痩せで体脂肪が蓄えられていないと、このエストロゲンが分泌されなくなってしまいます。エストロゲンは、月経に深く関わるホルモンで、この分泌がなくなると月経が止まってしまう、つまり妊娠しなくなってしまいます。妊娠し、胎児がお母さんの子宮で育つには、エネルギーがたくさん必要ですが、そのお母さんとなる体自体が、生きるためのエネルギーが極端に不足していると、妊娠どころではない、自分が生きるためにエネルギーを使おうと脳が判断し、妊娠しないようにエストロゲンの分泌を止めてしまうのです。これは言い換えると、お母さん自身の体を命の危機から守ろうとしているとも言えます。そして、さらに成長期にエストロゲンが分泌されないと、骨の密度がどんどん低くなっていきます。このような状態が続くと、骨粗鬆症になり、寝たきりになってしまう危険も出てくるのです。
エネルギー不足だけではなく、日焼けを極端に嫌う若い女性も増えており、骨をつくるのに必要なビタミンDが日光に当たらないことで不足することからも骨粗鬆症の危険は高まります。少しでも出生数を増やそうとたくさんの子育て支援を用意し、出産や子育てに関する助成金や制度を整えても、そもそも子供を妊娠、出産できる体ではない女性が本当に増えています。
また、不妊治療の支援や健康寿命の延伸にと大人に向けて様々な取組をされていますが、不妊や健康が阻害されてしまう根っこは、子供の頃に体の奥底に知らない間にそっと芽吹いていることもあります。そして、体に何か問題が起こったときに、それがずっと以前の自分の行動が原因であったかもしれないと気づいても、もうその頃に戻って改善させることは当然できません。
こうして様々な問題の原因が、成長期や若い頃の行動に起因していることが、科学の進歩などでどんどん判明してきた現在、このようなことを知っているということ、成長期の頃に知って行動することが何よりの予防策になります。こう考えると、今行われている少子化対策や健康政策は、起こってしまった問題をしのぐためのもの、対症療法でしかないようにも感じます。根本を改善するために、若年層への啓発や教育が本当に大切になってくるように思うのですが、新居浜市のお考えをお聞かせください。
このような取組は、これまで行われてきましたか。また、今後はどのようにされていきますか、よろしくお願いいたします。
(教育長答弁)
○教育長(高橋良光)(登壇) 成長期の行動と社会問題との関連についてお答えいたします。
若年層への啓発や教育につきましては、中学校学習指導要領の保健分野の目標に、生涯を通じて心身の健康の保持増進を目指し、明るく豊かな生活を営む態度を養うと掲げられており、これまでも、保健の授業等で自他の健康に関心を持つことや、現在だけでなく、生涯を通じて健康の保持増進や回復を目指すことといった実践力の基礎を育てるための教育を行っております。
今後も、子供たちが生涯を通じて心身ともに健康に過ごすことができる社会を目指して、教育活動を進めていきたいと考えております。
(再質問)
○4番(野田明里)(登壇) ありがとうございます。本当に、学校教育だけではなくて、社会教育であったりだとか、市役所の中の担当の課で言うと教育委員会だけではなくて、様々な課が関わりながらしていくべき政策だと思うのですが、そのあたりはどうでしょうか。
(市長答弁)
○市長(古川拓哉)(登壇) 野田議員さんの再質問にお答えをいたします。
議員さんがおっしゃられるとおり、様々な分野に関わってくることであるというふうに思っておりますので、部局を横断して考えていきたいというふうに思っております。
(再質問)
○4番(野田明里)(登壇) ありがとうございます。
田畑が、何も育たないほど痩せていることに気づかずに、一生懸命種をまいても何も実りません。何度まいても、何度も失敗します。これに対して、種を支給したり、何も実らなかったときに、補償や補填を行う、そのような支援を続けても結果は何も変わりません。何も実りません。やがて、一生懸命種をまき続けた人は、諦めていきますし、一生懸命支援している人も疲弊していきます。まさに、今の子育て支援や少子化対策のことだとは思いませんか。すべきことは、まず土地を育てること、育むこと、そしてすべき支援は、土地を育てる、育むサポートだと思います。男女平等を目指し、様々な取組を行っても、科学が進歩しても、現時点ではどうしても変えられないことがあります。それは、子供を産むことができるのは、女性だけであるということです。人口が増えない、子供が増えないのなら、働き手として移民をとのやり取りも一般質問初日に行われましたが、海外から日本にそうしてやって来てくださったその方たちも、自分の国ではその国の女性から生まれています。結局、どこかで女性が産まなければ、子供は増えません。このことが、あまりにも埋もれてしまっているように感じてなりません。そして、同時に、男性がいなければ、女性は妊娠することはできないということも埋もれてしまっているように思います。性イコール生、性教育、性別などの性は、つまり生命、生きることです。性教育は、人が生きるための教育です。様々な価値観の中で、いろいろなものを抱えて皆さん生きています。その中でも、女性が産みたい、産もうと前向きに思える世の中に、産みたいと思ったときに授かれる世の中に、そしてそんな女性と同じ目線で男性が歩んでいける、そんな世の中に、そしてそのような人たちをしっかりとサポートできるような町であってほしいと思います。そして、性に対する悲しい思いをする方がいなくなるように、まずはしっかりと町を育て、育む取組をしていただきたい。しかし、これには本当に時間がかかることだと思います。もしかしたら、古川市長の任期4年では成し遂げられないかもしれません。それでも、今始めなければ、私たちは次の世代、子供たちにも同じ思いをさせてしまいます。同じような悲しい思いをする子供は一人もつくりたくない、そのように思います。時間がかかることを、皆さんしっかりと胸にとどめながら、今できることを少しずつ始めていく、これが無駄のない行財政の第一歩、そしてあるようでなかった大きなチャレンジではないでしょうか。時間がかかること、そしてできなかったことをとがめるのではなく、その次の策をみんなで考えていける、そのような私たち大人で、私たち新居浜市でありたいなと思います。そのような新居浜市をどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。