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暖かい部屋から寒い部屋へ移動するなど、温度の急激な変化によって血圧が大きく変動し、めまいや不整脈、重症の場合は心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすことをいいます。
高齢者
高齢になると血管の柔軟性や血圧の調整能力の低下、皮膚感覚が鈍くなり温度を感じる能力が低下することから、ヒートショックになりやすいです。また、筋力低下や平衡感覚の低下によりふらつきやめまいの症状で転倒などの二次障害につながるリスクが高まります。
高血圧などの生活習慣病の罹患がある方
高血圧の既往のある方は血圧の調整能力が低下していることから、ヒートショックの影響を受けると低血圧による意識障害を起こしやすいです。その他の生活習慣病の既往がある場合も脳卒中や心筋梗塞など重症化するリスクが高まります。
飲酒後
飲酒後は血圧が大きく変動し、体温調節機能の低下によりヒートショックを起こしやすくなります。特に飲酒後の入浴は危険です。
冬場の自宅では、居室や寝室は暖房器具を利用して温かく保たれていますが、廊下や脱衣所、浴室、トイレ等は、暖房器具を設置していないことが多く、室内でも気温差が生じます。なかでも、脱衣所やトイレでは、衣服の着脱があるため身体が寒さを感じやすく、ヒートショックを起こしやすくなります。
特に入浴中は、温かい部屋から寒い脱衣所への移動や脱衣、その後温かいお湯につかるなど温度の変化を短時間で繰り返すことから最も注意が必要です。厚生労働省の調査によると11月~2月にかけては浴室での高齢者の不慮の溺死・溺水が増加しています。その一因としてヒートショックが考えられています。浴槽内で起こると意識消失し、そのまま溺水する可能性があり命の危険が高まります。

1 温度差に注意しましょう
室内では、部屋毎の気温差が大きくなるとリスクが高くなります。特にトイレ、廊下、脱衣所、浴室では寒さを感じやすくなるため暖房器具の設置や床からの冷えを予防するためにマットを敷く等の予防や工夫が必要です。また、屋外と室内の気温差もあります。東京ガス株式会社と一般財団法人日本気象協会が共同で開発したヒートショック予報(https://tenki.jp/heatshock/<外部リンク>)では、気象予報情報に基づく自宅内でのリスク予想を見ることができます。
2 服装の工夫をしましょう
屋内外関わらず、寒さに備えた工夫をしましょう。室内でも靴下やスリッパの着用や1枚多めに羽織ると急激な身体の冷えを緩和することができます。また気温に合わせて着脱できる重ね着や太い血管を冷やさないマフラー等を活用すると寒さを予防し、身体への負担を軽減できます。
3 水分補給をしっかりしましょう
身体が脱水の状態になると血液量が減少し、血圧が不安定になります。冬場は暖房器具の利用で身体が乾燥しやすく、寒さから水分摂取量が少なくなりやすいです。積極的に水分を取るようにしましょう。
4 入浴の環境を整えましょう
ヒートショックは浴室での発生が最も多いです。湯の温度は41℃以下を目安に熱くしすぎず、長風呂は控えましょう。居室との温度差が少なくなるよう入浴前に浴槽の蓋を開けておき蒸気で部屋を暖めたり、必要時暖房器具を活用しましょう。かけ湯をしたり、浴槽から出るときはゆっくり立つことで身体への負担を少なくできます。
5 リスクの高い人は家族で見守りましょう
1人での予防や対策が難しい場合があります。家族で協力して対策しましょう。入浴時には時間の見守りや声掛けをすることで不慮の事故を防ぐことができます。大きな音がしたときやいつもより長時間入浴している場合は、様子を見に行くようにしましょう。
➤消費者庁 コラムvol.4 冬に増加する高齢者の事故に注意ー入浴中の溺水事故
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20231211/
➤東京ガス株式会社 Stop!ヒートショック 良好なおうちの環境を整えよう
https://heatshock.jp/